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2016年04月29日 更新 | 1,697 views

彩香、30歳。「婚活美容」はじめの一歩(前篇)

新しく配属された年下男性社員、翔に「アラサーは婚活市場じゃ終わってる」と辛辣な言葉を浴びせられた彩香。そこで、すこしでも自分に近付けるように、美容医療に挑戦することにしたけれど……

オープン前のカフェの様子出典:Weheartit

「え、なに、あんた整形すんの?」

と、叫んだりさ子の声に、周りの客がちらっとこちらを振り返った。

「いや、整形っていうか、注射とかレーザーとか……」

彩香は、周りの客に聞こえないように極力小さな声を出した。

土曜日の表参道は、家族連れやカップルなど多くの人で賑わっている。

彩香とりさ子は、表参道沿いのカフェのテラス席で、遅めのランチをとっていた。

「まあ、たしかに、シミ取りのレーザーとか、やってる人多いよねー。ていうかうちの姉ちゃんやってたわ」

「そうなの? なんか、レーザーだとか注射だとかって、年取ってからやるもんだと思ってたんだけど……」

りさ子のお姉さんは、たしか自分と2つしか変わらなかったはずだ。

同年代の女性で、いわゆる「美容医療」に手を出している人は、彩香の身近にはいなかった。

「それにしても、生意気くんがあの高橋マチの息子だったとはね」

「ほんとに、びっくりしたよ……」

彩香は丸の内にある損害保険会社に勤めている。

先月、新しく配属された年下の男性社員、高橋翔が、彩香に対してだけ、あまりにもひどい態度をとるので、注意するために呼び出したのが先週の月曜のこと。

結局、反対に呼び出したはずの彩香が説教されることになったのだか、そのとき、高橋の母親が、人気美容家の高橋マチであることを知ったのだった。

「私も何回か番組に来てもらったことあるけど、たしかにありゃすごいね。バケモノ級にキレイだよ」

りさ子は、ラジオの放送作家をしている。

芸能人に会う機会の多いりさ子が言うのだから高橋マチの美しさは本物なんだろう。

「しかし、母親がバケモノだと、女へのハードルが高くなるのかね? それともうんざりして、逆に素朴な子の方がよくなるのか……」

「あいつの女の趣味なんてどうだっていいけど、別にお母さんのこと悪く思ってる感じじゃなかったよ。むしろ、努力しない女を見下してるって感じ? てゆうか、美容関係の話題に詳しすぎて引いた」

高橋翔の口から、ヒアルロン酸だのプラセンタだの、女性誌に並んでいそうな単語が出てきたときは驚いたが、母親のマチがかなりの美容医療フリークらしい。

インタビューなどで「美の秘訣は、生活習慣と食事」と言っているのを知っていたので、彩香は裏切られたような気がしたのだか。

ひとりカフェでくつろいでいる女性出典:Weheartit

「たしかにそれは引くなー。まあでも、そいつの言ったことはあながち間違ってないかもね」

「なに?」

『アラサー女は婚活市場じゃ終わってる』ってやつ」

高橋翔を呼び出したあの日、返り討ちにあった彩香はたまらず泣き出してしまったのだ。そして、そんな彩香をなだめようとした高橋が、彩香を会社からすこし離れたカフェに連れだした。

そして、そういう話の流れだったかは忘れたが、結婚したいかどうか尋ねられた。彩香は正直に「したい」と答えたが、すると高橋から「アラサーは婚活市場では終わってる」という暴言を浴びせられたのだった。

「やめてよ、もう。思い出したくないんだから」

「でも、高橋にそう言われたから、整形する気になったんでしょ?」

「だから、整形じゃなくて『美容医療』ね。……まあ、多少、納得できる部分もあったし」

高橋と話したあと、彩香はすぐ、インターネットで、美容医療に関する情報を漁った。

すると、肌にレーザーや特殊な光を当てる施術にも、直接注射する施術にも、とにかくさまざまな種類があることがわかった。

美容外科やクリニックも、東京のいたるところにあった。

サイトには、甘い言葉がずらりと並ぶ。「若返り」「美肌」「キレイ」……。果たして本当なんだろうか。

ただ、口コミやブログで、経験者の声を辿って行くと、もちろんいい意見ばかりではないものの、「騙された」とか「詐欺だ」みたいなコメントは少なかった。

美容外科ってなんか怪しいイメージあったけど、そうでもないのかも……。

そう思った彩香は、一度カウンセリングに行ってみようと思い立った。

美容外科やクリニックでの治療というのは、どういった施術を行うのか、医師としっかり話したうえで決めるらしい。

なかには、納得できるまで何度も何度も、さまざまな医師のもとに通ってから施術をしたという人もいた。

はたしてそんな根気が自分にあるか……、彩香は少し気後れしてしまったが、とりあえず行動してみようということで、業界では最大手と言われる美容外科の銀座院にカウンセリング予約をとった。

「それで、明日、行くんでしょ?」

「うん……。でも、なんかちょっと不安になってる、いま。うまく丸め込まれて、何十万もする治療させられたらどうしよう……」

「まじでそれは気をつけた方がいいよ。あんた、世間知らずなところあるから」

比較的裕福な家庭で育ったせいか、彩香はやや浮世離れしたところがあった。

大学時代、美術商をやっているという羽振りのいい男に、数十万の絵画を買わされたことがある。

そのころ彩香は、父に家賃を払ってもらって、大学の近くにひとり暮らしをしていた。そして、その男が訪ねてきたとき「彩香ちゃんみたいにキレイな子の部屋には、同じくらい価値のある絵があると様になると思う」と言われたのだ。

絵を買ったあと、すぐに音信不通になったので、その男が本物の美術商だったのかどうか、今はわからずじまいだが、その絵が、値段に見合うような代物ではなかったのは明らかだった。

「とりあえず、あしたは、話を聞くだけって思っとく」

初めてのカウンセリング。同年代の女医さんに話を聞いてもらうも……

お気に入りのメイク用品出典:Weheartit

カウンセリング当日。

クリニックに到着したときは、予約時間ギリギリだった。

いつもより念入りにメイクをしていたからだ。そして、買ったばかりのワンピーズも下ろした。

どうしても、惨めには見られたくなかった。

わたしは、マイナス要素があるから来ているわけじゃない。ただ、美意識が高いだけ。

だって、わたしはブスじゃないもの。マイナスをゼロにしようとしている人たちと一緒にされたくない。

だから、メイクも髪も、ファッションも、完璧に仕上げて来た。

クリニックの受付には、若くてキレイな女性がずらりと並んでいる。

この子たちも、いろいろやってるんだろうな……。じゃなきゃこんなにキレイなわけないもんね。

若さも美しさも正直負けていたが、こっちはナチュラルなんだ。負けるのは、まあ仕方ない。

受付をすませると、近くのソファーに腰掛けた。

彩香以外にも、4人の女性がいる。

彩香より年下のように見えるオシャレな感じの子がひとり、マスクとサングラスで完全防備しているため、顔はわからないけれど、スタイルが抜群によさそうな人がひとり、あとの2人は、彩香より少し年上の、セレブな主婦という印象だった。

奥の部屋に通されるとき、名前は呼ばれない。最初に渡された番号で呼ばれる。

プライバシーにちゃんと配慮してるんだなと感心していると、彩香の番号が呼ばれた。

カウンセリング室というところに通され、椅子に腰掛ける。すると小柄な女性が入ってきた。

「こんにちは。萩原といいます。たしか、先生とのカウンセリングをご希望でしたよね?」

インターネットで調べているとき、医師がカウンセリングを行っていないクリニックがあることを知った。

メスを使うような大きな手術は医師が担当して、カウンセリングや簡単な施術は、女性スタッフが行うというのだ。

彩香は、医師免許のない人間に、自分の大切な身体を任せるなんて御免だった。

だから、カウンセリングの予約のとき、医師とカウンセリングがしたいと書いておいたのだ。

「はい。専門的なお話を聞きたいので」

「そうですよね。ただ、うちのクリニックでは基本的に、肌の状態とか、気になっている部分とか、基本的な情報だけ私たちスタッフがお聞きして、そのあと先生のカウンセリングという順序なんですが、わたしから何点かお聞きしてもいいですか? もちろん、しっかりしたカウンセリングは先生にやっていただきますから」

萩原というスタッフは20代半ばごろに見えた。自分より若い子に、美容の悩みを相談するなんて、なんだかいい気がしなかった。

「はあ……。まあ、少しなら」

それから萩原は、生活習慣や最近の体調、肌の状態や悩みについて聞いてきた。

彩香はなんとなく、すべて曖昧に答えた。

萩原は、うんうん頷きながら律儀にメモをとっている。

仕事熱心なんだなと思うと同時に、「こんな若い子に何がわかるの?」とどこかで馬鹿にしていた自分をすこし反省した。本当に少しだけだが。

「……ありがとうございました! それでは、先生を呼んできますね」

赤い聴診器出典:Weheartit

萩原が部屋を出て行って、2、3分経ったころ、女性の医師がツカツカと入ってきた。

「こんにちは。院長の神崎です。よろしくお願いします」

神崎は、スラっと背の高い女性だった。顔立ちは、切れ長の目がキリッとした印象で、美人だった。

年齢は、彩香より少し年上だろうか。とはいえ、30代半ばくらいだろう。その若さで院長なんてすごい、と彩香は思った。

「最近、肌の調子がよくないとのことでしたが……」

萩原には、具体的なことは言わず、ただ調子が悪いとしか言わなかった。

「はい。別に、すごく気になるってほどでもないんですけどね」

「簡単にで結構なんですが、たとえばお顔のどのあたりが一番気になるとかってあります?」

「うーん、全体的に質感が変わったというか……」

「なるほど……。まあ、基本的に20歳をすぎると肌は衰えていく一方ですからね

そういう神崎の肌は、驚くほどキレイだったので、きっと彼女もいろいろやっているんだろう。

「でも、2年くらい前までは、美容のことで悩むことなんてなかったんですよ」

「そうですね。たしかに、とても白くてキレイなお肌されてますもんね」

キレイ……と言われたが、明らかに神崎の方がキレイな肌をしている。彩香は、高いファンデーションに変えてよかったと思うと同時に、この医師を本当に信用していいものかすこし迷いが生じた。

「まあ……。でも、やっぱり衰えは感じるんですよ」

「それは、ある程度仕方ないことです。25とか30とか、節目の歳になるとガクッと肌の衰えが目立つことが多いんですよ」

やはり、みんな通る道なんだろうか。自分のことを疑いもなくキレイだと思ってきた自分が「キレイになりたい」なんて思う日が来るなんて不思議でならなかった。

「女性のキレイになりたいって気持ちは、尽きることはないですからね」

そのあと、神崎はわたしからいろいろな肌の悩みを聞き出しながら、それぞれに適した治療法を紹介してくれた。

たとえば、肌全体を明るく透明感のある印象にしたいならフォトフェイシャルという光治療、ハリや潤いがほしいならプラセンタ……といった具合だ。

ただ正直、施術がありすぎて、彩香には何がなんだかわからなかった。

「どうします? 今日、何かやっていきますか?」

彩香は、あのころの、キレイだったころの自分に戻してくれれば施術なんてなんでもよかった。

ただ、なんとなく「先生に任せます」とは言えなかった。

「ええっと……、どうしようかな……」

でも、ここまでいろいろ話したあとで断りづらいのは事実だ。

やっぱりいいです、なんて言ったら嫌な顔をされるかもしれない……。

しかし、神崎の反応は意外なものだった。

「迷っていらっしゃるなら、無理にする必要はないですよ。いまはいろいろな情報がインターネットで手に入る時代ですから、興味をもったものを、ご自身で調べてみるのもいいと思います」

「そう、なんですか」

「もちろん、すべてが正しい情報とは限らないので、あまり鵜呑みにしない方がいいですけど。それと、こんなことを言うのもおかしいんですけど、他の先生にも会ってみたほうがいいですよ」

自分のもとにきた患者にほかの医師をすすめるなんて、驚きだった。

「あんまり大きな声では言えないんですけど、わたしが患者さんの立場だったら、やっぱり誰に施術してもらうかってすごく大切だなって思うんですよ。だって、自分の顔をいじらせるわけですから。だから、この人なら安心して任せられるって人を見つけるのが一番です

とても誠実な人だなと思った。

彩香はこの医師のことを、なんとなく疑ってかかっていたが、それは思い違いだったらしい。

「わかりました。ありがとうございます。もうすこし、いろいろ調べてみます」

クリニックは明るくて清潔感があったし、スタッフや医師も、胡散臭いイメージがあったけれど、思ったより普通で、むしろ好感が持てた。

このカウンセリングのおかげで、彩香は自分のなかの、美容医療に対するハードルが少し下がったのを感じた。

Top image via Pinterest

written by NICOLY編集部

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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