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2016年08月05日 更新 | 5,489 views

30歳の処女ってイタいですか? アラサー女子の初恋の始め方(後篇)

30歳にして男性経験ゼロのりさ子は、男の人に対して恐怖心を持っている。それは、幼いころに植え付けられたある記憶のせい。

30歳にして男性経験ゼロのりさ子。周りには「男嫌い」で通っているが、実際には、過去のあるできごとがきっかけで、男の人が怖くなってしまったのだった。

この記事は30歳の処女ってイタいですか? アラサー女子の初恋の始め方の続きです。

幼なじみ、という存在がいたことがある。

りさ子は5歳のとき、父親の仕事の都合で、北海道から東京に移り住んだ。住宅街にある小さなマンションの一室だった。そして、マンションの同じ階に、同い年の男の子と3つ上の男の子の兄弟が住んでいた。兄の方は、ゆうくん、弟の方はかずくんと呼んでいたのを覚えている。

住人同士の関係が特別親密というわけではなかったが、マンションの1階にある小さな公園(とは名ばかりで、砂場とバネの付いたパンダの遊具がふたつ、並んでいるだけだったけれど)で、子ども同士はよく遊んでいたので、自然と仲良くなっていった。

りさ子は、その兄弟と遊ぶのが好きだった。彼らは、りさ子の知らない遊びをたくさん教えてくれた。探検ごっこ、秘密基地ごっこ、ヒーローごっこ……。おままごととか、着せ替え人形とか、いわゆる女の子の遊びに興味を持てなかったりさ子は、2つ上の姉と遊ぶより、彼らと一緒にいる方が楽しくなった。

桜並木出典:Pinterest

そして、りさ子とかずくんは、ゆうくんと同じ小学校に進学した。新しい生活が始まってからも、それまでと同じようにマンションの下の公園で、2人と一緒に男の子遊びをする日々だった。

でも、いつしかゆうくんはあまり公園に現れなくなった。小学生にとって3歳の年齢差はけっこう大きい。だんだんと、子どもっぽい遊びに飽きてきたんだろう。しばらくは、かずくんとふたりで遊んでいたが、やはり二人でできることは限られている。

それに、探検隊の隊長も、秘密基地のリーダーもゆうくんの役割だった。トップに立つものがいなくなって、幼い二人は何をどうすればいいのかもわからなかった。そこで、かずくんはクラスの男子に声をかけることにしたらしい。だんだんと人数が増えていき、小さな公園には7、8人の男子小学生とりさ子というメンバーが集まるようになった。

当時、りさ子はかずくんとは違うクラスだったため、集まった男子は知らない顔がほとんどだった。そのころりさ子は、男の子と遊ぶことが楽しくて、女子のなかに友だちと呼べるような子はほとんどいなかった気がする。

とはいえ、小学校の低学年のあいだは、男と女の違いなんて、さほど気にならない。りさ子自身も、自分に男子の友だちしかいないことを、特に気にしたことはなかった。

そんな毎日が崩壊したのはいつのことだったか。

たしか、小学校3年生に上がったころだった気がする。りさ子はいつものように公園で男子たちと走り回って遊んでいた。そのとき、誰かが

「デブ」

と言った。それは、りさ子に向けられている言葉のようだった。とはいえ、そんな呼ばれ方をしたのは初めてのことで、すぐには反応できなかった。

「おい、デブ! 返事しろよ!」

今度は砂をかけられた。とっさに身を翻したがよけきれず、目に激痛が走る。

「デブが泣いてる」

「キモい」

「おい、豚、草食うか?」

急なできごとに呆然としているりさ子に、周りの男子たちは次から次へと罵声を浴びせかける。そして、この日からりさ子は完全にいじめられるようになった。砂や水をかけられたり、追いかけられて雑草を食べさせられそうになったり。どんどんエスカレートして殴られたり、蹴られたりするようになった。

たしかに、そのころりさ子は太っていた。今はどちらかと言えば、細くスラっとした体型だが、小さいころは身体が縦にも横にも大きかった。そして、外で仕事をしている母が、忙しい合間をぬってご飯を作ってくれているのを知っていたので、とにかくたくさん食べなければと思い、実際ものすごい量を食べていた。

いじめられるのが嫌で公園にいかなくなると、今度は学校でもいじめられるようになった。

意味もなく追いかけられたり、物を投げられたり、ぶったりけったりという暴力も日常茶飯事だった。デブ、豚、のろま、キモい……と罵声を浴びせられる毎日。そして、それはどんどん周りに伝わっていく。

気付いたときには、りさ子は学年中からいじめられる存在になっていた。りさ子にとって、学校は地獄になった。そんな地獄の日々は思い出したくもない過去なのだが、自分をいじめるときの楽しそうな男の子たちの顔が脳裏から離れない。

何より、幼い頃から仲良く遊んでいたはずの幼なじみの豹変した姿は、りさ子にとって恐怖の象徴だった。いつも優しかったかずくん。りさ子が転ぶと、必ず手を差し伸べてくれた。そんな人が、恍惚とした表情で自分のことを殴っている。

それだけで、男という存在を怖いと思うのには充分だった。

ワインを飲みながら女子会をしている女性たち出典:Weheartit

はっと我に返ると、美樹と彩香は、まだ恋愛談義に花を咲かせていた。

「そもそも、いい男が少なすぎるんだよ」

「わかる! なんかこう、ビビッとくる男がいないんだよ」

「とか言って既婚者にビビッと来てんじゃん」

「違うよ、だって冴えない男だったもん」

そういえば、女子がよく言う「ビビッ」というのを感じたことがないかもしれない。りさ子にはその感覚がまったくわからない。りさ子にとって男性は、まず警戒すべき存在であり、どちらかと言えば「ビクッ」だ。

「怖くないの?」

思ったことが口をついて出てしまった。

「怖いって、何が?」

「え、不倫ってこと? 別にしないよ!」

「いや、そうじゃなくて……」

彩香と美樹が不思議そうな顔でこちらを見ている。

「あの、男の人ってさ、身体が大きくて、力も強いし、なんかちょっと暴力的だし……怖いって思ったことないの?」

長年付き合ってきて、二人にこんなことを聞くのは初めてだった。酔っているのかもしれない。

「あれ? りさ子の元カレってそんなヤバいやつばっかだったっけ?」

「いや、そうじゃないけど、最近恋愛してないから、よくわかんなくなっちゃって」

最近、というのは、もちろん嘘だった。でもまだすべてを洗いざらい打ち明ける覚悟はできていない。

「へえ、意外! りさ子の口からそんな言葉が出るなんて」

「私は、怖いとか思ったことないなあ。ウザいとかムカつくとはしょっちゅう思うけど」

「あ、でも」と美樹が続ける。

「大学生のとき付き合ってたやつが酒乱でさ。酔っ払うと殴ったり蹴ったりしてくんの。あれは怖かった」

そんな話を聞くのは初めてだった。美樹は恋愛体質で、特定の相手を作らないのか、それともとっかえひっかえしているのか、男の存在が途切れることはなかった。

美樹のことは好きだが、なんとなく自分とは交わらない世界にいる子のように感じていた。でも、そんな美樹にも男を怖いと思う瞬間はあったのだ。

「うそ、それ初耳なんだけど」

「だって、すぐ終わったし、みんなに話して大事になるのめんどいじゃん」

それは本当なのだろうか。りさ子も、自分が暴力を振るわれていることは誰にも言えなかった。心配をかけたくない、というのはもちろんだが、そんな惨めな自分を知られるのが嫌だったからだ。

「どうやって、克服したの?」

「なにが?」

「男の人怖いって思って、でもその後他の人とまた付き合ったでしょ? どうして大丈夫になったの?」

「うーん……」

美樹は少し考えると、

「たまたまそういうろくでもないのに当たっちゃっただけだし、それで世の中の男全部が怖いとは思わないかなあ。それに、殴られるときは怖かったけど、あとから怒りが湧いてくんのよ。なんで私がこんな扱いされなきゃいけないのって。だから怖いっていうか、死ねって思ってたかも」

「自尊心」という言葉がりさ子の頭をよぎる。自分は、暴力を振るわれるのも、暴言を吐かれるのも、自分が醜いせいだから仕方がないと思っていた。そう思わなければ、残酷な現実を受け入れられなかったせいもあるが、そこに自尊心はまったくなかった。

「怖いじゃなくて、死ね、か」

恐怖心ではなくて、怒り。もし、自分のなかにある男性への恐怖心を怒りへ昇華させたらどうなるだろうか。やっと、次のステージに行けるのだろうか。

「変わりたい」そう思いながら、りさ子は、ぬるくなったワインを一気に飲み干した。

Top image via Pinterest

written by NICOLY編集部

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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