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2016年06月13日 更新 | 19,375 views

回避性パーソナリティ障害は治せる。症状や原因、治療法とは。

臨床心理士 山本貢司

この記事は、臨床心理士 山本貢司が監修しています。

人は生きていくうえで、失敗したり、傷ついたりしてその中で学び、成長していきます。しかし、一方で失敗や傷つきを極端に恐れ、社会とのつながりや人との関わりを極端に拒絶してしまう人が。それはもしかしたら、回避性パーソナリティー障害かもしれません。

入社式、入学式など新しい年度や学期が始まり、多くの人が新しい環境に身を置く季節。

特にこの時期は新たな人との出会いが多く、これからの社会生活の人間関係を築く上で、とても大事な時期です。

しかし反面なかなか人とうまく関われず、悩む人も。

また、新しい職場や環境では対人関係で失敗することもあるので、そのつまづきのために、「私は嫌われるから」「どうせ私なんて」と思い込み、人と関わることを避け引きこもってしまうことも……。

こういった症状が長く続く場合、もしかしたら、回避性パーソナリティー障害かもしれません。

回避性パーソナリティー障害とは?

爪を噛む不安げな女性

ものの考え方や振る舞いの方、対人関係の持ち方など、その人なりの反応パターンの偏りのために、著しい苦痛や行動的問題が生じて社会生活への適応が困難となった状態のことをパーソナリティ障害といいます。

特に、失敗や、人前で恥をかくことを極端に恐がり、人や社会とのつながりを絶ってしまうパーソナリティ障害のことを回避性パーソナリティー障害といいます。

特徴の一つとして「過剰な自己否定」、「過剰な自己評価の低さ」があげられます。

他人から批判されたり嘲笑されることを怖がるあまり、対人的、社会的チャンスから逃げてしまい、最終的には、社会的、対人的に孤独を選んでしまいます。

回避性パーソナリティー障害の特徴

ベッドの上でうずくまる悲しげな女性

回避性パーソナリティ障害には次のような特徴があります。

人との接触を回避する

回避性パーソナリティーのもっとも特徴的な症状に、人と関わる場面を避ける回避行動があります。

人と会うと不安や緊張感に襲われるため、常にストレスを溜めこみ、抑うつ状態に似た症状が生じることが。

基本的に、自分に自信がなく劣等感があるため、人の注目や関心を集める出来事を嫌い、できるだけそういった状況に身を置かないようにします。

低い自己評価

回避性パーソナリティーに悩む人は、極端に自己評価が低いという特徴があります。 人よりも長所が少ないと思い込み、劣等感を強く抱えているので、「どうせ無駄」「私には無理」、「やっぱりダメだった」といったネガティブな発言をしがちです。

根底には人から嘲笑されることや批判されることへの恐れがあるため、諦めることで自分自身を守っているといえるでしょう。

好かれている確信が持てないと不安

極端に人との関わりを絶ってしまったり、人から意見や批判を恐れるという特徴のある回避性パーソナリティー障害ですが、根底には常に「私を、まるごと受け入れてくれる人」を求めています。

この背景には、成長過程で親などの重要他者から受容される体験の不足があります。

受容される期待が大きい反面、受容されなかった体験や低い自己評価のために、人と関わったら笑われたり馬鹿にされたりするかもしれないと葛藤して、なかなか新しい人間関係を築くことができません。

傷つくことや迷惑をかけることを過度に恐れる

回避性パーソナリティー障害を抱える人は、低い自己評価や否定的な対人認知のために、とても打たれ弱く、傷つきやすいです。

そのため、人と関わりで傷つくことを恐れます。

人からの批判を過度に恐れるために、自分の意見を言うことで全体の和が乱れてしまったり、迷惑をかけてしまうことを避けようとします。

その結果、ストレスを自分で抱えて精神的にいき詰まります。でも、苦しさを表に出したりすることが苦手。

ときには、そうした振る舞いのために、大きなトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。

責任を負うのが嫌い

回避性パーソナリティー障害は、自己評価の低さ、批判や非難への恐れなど極端に否定に捉えてしまうパターンによって、自分は責任に対して耐えられないと思い込んでいます。

この責任への耐性の低さのため、人生においての進学、就職、結婚など大きな選択を迫られる出来事を回避しようとしがち。

せっかくのチャンスに対しても、責任負うことは苦痛でしかないので萎縮してしまいます。

他人からの期待、非難、批判、拒絶に対して敏感なため、人と接する仕事や職業を避ける傾向があるのも この障害の特徴です。

回避性パーソナリティー障害は、他人からの評価や批判、期待に対しての極端な恐れがあります。

一方で、「親密なつながりを持てる友人」や「丸ごと受け入れてくれる人」を求めるアンビバレントな 感情があるのが特徴の一つです。

この葛藤を理解することが、回避性パーソナリティー障害で悩む人と接する上で大切なことといえるでしょう。

NICOLY:)豆知識 アンビバレントとは

アンビバレントとは、ひとつの物事に対して、相反する感情があり葛藤する心理状態のことです。

例えば、思春期の子どもが親に反抗したり、憎んだりしながらも、一方で親に甘えたい気持ちや愛されたい気持ちがある状態を指します。

回避性パーソナリティー障害の原因

道路を歩く少女の悲しげな後ろ姿

回避性パーソナリティー障害は、主に家庭での体験と社会的な体験によって作られるといわれています。

幼少期に認められずに育った

親は子どもにとって唯一「自分を認めてくれて、無条件に受け入れてくれる」存在です。

特に幼少期に認められる経験は、自信を持たせてあげる第一段階としてとても大事なこと。

しかし認められることがないと子どもは不安になり、自信をもつことができなくなります。

自信がないという思い込みを持った大人になると、消極的な人生を送ることになります。

親から認めてもらうことが不足して「自分には能力がない」「魅力がない」「嫌われている」という自己否定的な思い込みが作られると、それは回避性パーソナリティー障害へとつながっていく可能性があります。

過干渉、過保護な家庭環境

親が子どものやることに対して先回りして何でもやってしまったり、子どものいうことを否定りする環境では、子どもの中に「こうしてみよう」、「チャレンジしてみよう」という主体性が育成されず、物事の判断やしっかりとした価値観を確立することもできなくなってしまいます。

子どもにとって、全ての社会環境は確かに安全とは言い切れないので、親の過干渉や過保護もわからないではありません。

しかし幼少期はチャレンジしたり、失敗しながら成長する大事な時期でもあるのです。

積極的にものごとにチャレンジすることは、自信にもつながっていきます。失敗しても大丈夫であることも体験を通して学ぶことができます。

何でもやってあげてしまう家庭環境は、失敗しながらでも自分の力で生きていこうとする気持ちを奪ってしまうのです。

いじめなどの強い人間不信に陥るできごとがあった

回避性パーソナリティー障害は、主に思春期から成人期にかけて発症するといわれています。

この時期に例えば他人から無視されたり、心無い言葉を言われ続けるなどのストレス体験があると「私はこんなにダメなんだ」という思い込みが強まります。

特に思春期は身体の変化や心の変化にともなって、さまざまなコンプレックスを抱える時期でもあるので、なおさら自己否定が強まります。

強いストレス体験はトラウマ化して、その後々まで心に影響を与えます。大人になっても、自己評価が極端に低いままで、人と接することに対してネガティブなイメージしか抱けなくなってしまいます。

回避性パーソナリティー障害の治療方法

医師に説明を受ける女性患者

回避性パーソナリティー障害を治療する方法には、薬物療法のほかに心理療法があります。それには、3つの方法があります。

認知療法

認知の歪み」や「行動の歪み」を健康な状態に戻してあげる治療法です。

回避性パーソナリティー障害の人は、「いいことはまぐれに過ぎない」という肯定的側面の割引や「いつもうまくいかないとしか思えない」という破局的思考のように、ものごとや自分自身をゆがんだ形で認識しています。

カウンセラーはまず、患者にいやだった出来事や、失敗した出来事を話してもらいます。

例えば「営業先からの電話で、上司に言葉づかいをきつく注意され笑われた。もう誰とも話をしたくない」という悩みに対し、カウンセラーは「その時、ふと頭に浮かんだ考えはなんですか?」「どんな行動をしましたか?」と質問します。

「自分を全否定された」とか、「黙ってしまった」などの考えや行動を見つけることができたら、それらをカウンセラーとともに検討します。

そして、「言葉遣いを注意されることと、性格を否定されることは違う」、「失敗から学んで、電話での言葉遣いを直せたら、逆に認められる」など柔軟な考えや行動を探します。

自分の気持ちを客観視して、否定的な一面ばかりに目をむけるのではなく、それとは違う一面を知ってもらうことで、考えや行動の柔軟性を高めるのが認知行動療法の狙いです。

暴露療法

暴露療法は別名「エクスポージャ療法」ともよばれ、苦手な場所や環境に身を置くことによって、その環境や不安に慣れさせる方法です。

手順として、不安のあまり高くない場面からスタート。

繰り返し練習する中で「そうそう最悪なことばかりが起こるわけではない」と学習して破局的思考が修正されることで、不安そのものが生じなくなります。

この療法は、緊張したり恐怖する場面から回避しないことが大切です。

ソーシャルスキルトレーニング

人づきあいなどの対人関係や、集団行動を営んでいくために必要な対人スキルを学ぶことをソーシャルスキルトレーニングといいます。

回避性パーソナリティー障害の人は、社会的場面で強い不安を持つため、人と話をしたり、自分の意見を主張する対人スキルを用いることがとても苦手です。

このために、グループ内で会話や発表をする機会を設けて、対人スキルを練習します。

例えば、ゲーム大会などのレクリエーションで人とコミュニケーションをとります。

こういったグループでの交流を通して、自分でできたこと、できなかったことをカウンセラーや仲間と話しあい、対人スキルを改善します。それに伴って、低い自己評価や否定的な対人認知を変化させます。

最終的に、良い体験を重ねていく中で社会生活を送ることに対して自信がつきます。

医師との信頼関係を築くことが治療への近道

カメラ目線のはかなげな女性

回避性パーソナリティー障害の人は、過剰な劣等感やマイナス感情に支配されています。

このため、医師やカウンセラーにもなかなか心を開いてくれないことが多いのだとか。

回避性パーソナリティー障害の治療は、「認知の歪みの修正」と「回避行動の修正」がメインテーマになるので、医師やカウンセラーとの信頼関係がとても大切です。

本人との信頼関係を築くためには、批判したり叱りつけたりせず、本人の話したいことをそのまま認めてあげることが大切。

もし周りに回避性パーソナリティーの人がいたら、その人を肯定したり、温かい言葉を伝えてあげて、その人の長所や可能性を引き出し、安心感を持ってもらうように心がけてあげると良いかもしれません。

人格障害といわれる回避性パーソナリティー障害ですが、多かれ少なかれ私たちの心の中にある葛藤が、極端な形で表れてしまっただけのように感じます。

もし極端なマイナス思考に陥って、それをずっと引きずっているなら、信頼できる誰かに話を聞いてもらうと良いかも。

人との信頼関係を築くーー。

それが回避性パーソナリティ障害を乗り越える、大きな一歩にはるはずです。

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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