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2016年06月13日 更新 | 9,332 views

回避性パーソナリティ障害の原因 ~過去の自分を許すために~

臨床心理士 山本貢司

この記事は、臨床心理士 山本貢司が監修しています。

多くのパーソナリティ障害のなかで、もっとも極端に自己否定する傾向が見られる回避性パーソナリティ障害は、本人の考え方や環境などの要因によって発症するといわれています。その原因やカウンセリングでの治療、セルフケアについて紹介します。

極端な自己否定、人に嫌われることを恐れ、人と接することを避けてしまう回避性パーソナリティ障害には、本当に心を許す人を求めながらも、なかなか心を開けない気持ちの葛藤があります。

また、回避性パーソナリティ障害は、それまで生きてきた環境や経験によってうつ病を発症しやすくなるといわれています。

その原因にはいったいどういったものがあるのでしょうか。

回避性パーソナリティ障害とは

落ちこむ女性の写真

回避性パーソナリティ障害には、主に以下のような特徴が挙げられます。

回避性パーソナリティ障害の特徴

  1. 人との接触を回避する
  2. 低い自己評価
  3. 好かれている確信が持てないと不安
  4. 傷つくことや迷惑をかけることを過度に恐れる
  5. 責任を負うのが嫌い

回避性パーソナリティ障害は、人と接することを避けることで、極端に低い自己評価がさらに傷つかないように自分を守る傾向があります。

また、これは他のパーソナリティ障害にも見られることですが、親や兄弟のような親密で裏切らない人間関係を他人に求める傾向があることも回避性パーソナリティ障害の特徴です。

思春期から成人期にかけて発症しやすい

回避性パーソナリティ障害は、思春期以降に発症しやすいといわれています。

女性らしさや男性らしさが顕れ、異性を意識しやすくなる第二次性徴期といわれる思春期は、子どもから大人へと成長するために、心や身体に大きな変化を遂げる多感な時期です。

同時に人間関係が広がりや、受験などの社会的場面からのストレスが強まる時期でもあります。

幼少期に全ての欲求を満たしてくれた母親や父親が、それほど完璧な存在ではなく「親も、そこまで完璧じゃないんだな。同じ人間なんだ」ということを社会経験を通して認識するようになり、家族に対して客観的な視点を持てるようになったり、主体的な自己を確立したりすることで、自立していきます。

しかし、この時期までに親からの非難や過干渉、無関心という環境に置かれることが続くと、不安定な自己のまま思春期を迎えることになります。

頭では「自立しなければ」と思っていても、それまで満たされなかった愛情を求める気持ちは残るため、自分で生きていこうとする意欲は十分に育ちません。

また、回避性パーソナリティ障害は失敗体験やいじめ、壮絶な虐待の経験などのトラウマ体験によって発症することも。

思春期は、大人でありながら子どもである時代です。

家族から自立をしようとしながらも、どこかで家族を求めている時期のストレス体験は、心に大きな傷跡を残すといえるでしょう。

回避性パーソナリティ障害の原因

落ちこむ女性の写真

回避性パーソナリティ障害は、一般的に次のような原因があるといいます。

原因1:親からの暴力・非難

回避性パーソナリティ障害は、親からの非難や暴力など非養育的な家庭環境におかれることが発症の要因の一つといわれています。

親から日常的に身体的、心理的、性的虐待を受けた子どもは「私は、こんなにダメなんだ」「僕は、こんなに悪い子なんだ」という気持ちをもつようになります。そして、それはトラウマとして子供の心に残ります。

そのため、親からの虐待や過度な非難などの非養育的な行為から逃れようと、無理にいい子や優等生になろうとふるまったりすることもあるといいます。

この状態を引きずりながら成長していくと、人から批判や嘲笑をされないことばかりに心がとらわれて、対人的に臆病になったり、失敗を過度に恐れて人に対しても物事に対しても消極的になっていきます

原因2:親の過保護・過干渉

逆に、親が何でも先回りし過干渉をしすぎることも回避性パーソナリティ障害が発症する要因の一つになるといわれています。

子どもは成長するうえで、いろいろな成功や失敗を体験して成長していきます。

親にとっては、なるべく子どもに苦労をしてほしくないと思うものですが、子どもが、「これにチャレンジしてみよう」という気持ちや行動は、自分でものごとを判断し、価値観を育むために大切な体験なのです。

失敗しても、そこから子どもなりに学ぶことができます。

しかし、親が何でもやってあげたり、干渉し続けたりすると、子どもは失敗をすることを恐れて、やがて自分で判断することを放棄します。目の前のことから逃げることが一番の安全策だからです。

そして、そのまま大人になると、「どうせ、口を出されるしもう何もしない」「どうせ、私には無理」と理由付けして責任を持つことを避けたり、人生のチャンスや大事な節目をも回避しようとします。

つまり、親が良かれと思って子どもを守っているつもりでも、子どもにとってそれが必ずしもいいとは限らないのです。

原因3:いじめを受けてきた

回避性パーソナリティ障害が発症する要因としていじめなど社会的場面でのトラウマ体験が挙げられます。

人から嘲笑され続けたり、暴力を受けたりすると、常に相手が自分を攻撃してこないかと、人の機嫌を伺いながら生活しなくてはいけなくなります。

また、社会的場面で無視されたり心無い言葉を言われることで「私は、本当に価値がないんだ」と思い込み、次第に無気力感や抑うつ感が強くなります。

特に、コンプレックスを感じやすい思春期にいじめを受けると、社会や人に対して「もう、どうしようもないんだ」「どうせ、私は受け入れてもらえない」と無力感や絶望感を抱えるようになります。

そして、やがて人に接することを避けて不登校や引きこもりになり、自ら孤独を選んでしまいます。

回避性パーソナリティ障害のセルフ克服法~病院へいけないあなたへ~

会話をする女性たちの写真

人と接することや、関わることに対してネガティヴな感情しか抱けない回避性パーソナリティ障害の人に とっては、病院に行ってカウンセリングや治療を受けるのはとてもハードルが高いもの。

まずは、自分でできる方法で、回避性パーソナリティー障害を少しずつでも克服していきましょう。

小さな成功体験を積み重ねよう

回避性パーソナリティ障害は、「自分にはできない」という失敗に対する恐れにとらわれています。

そのため、大きな目標よりも小さな目標を立てて、成功体験を積み重ねていくことが大切です。

外に出ることが苦手なら、まずは家の中でできることからはじめます。

例えば「早寝早起き」をして、体調を整えてみましょう。朝日を浴びることで、身体も整えられ気持ちも前向きになります。 また、部屋の掃除をしてみるのもおすすめです。部屋の換気や掃除機かけ、フローリングのモップ掛けや雑巾掛けをとにかくやってみましょう。

部屋がきれいになり、気分もすっきり、身体も動かせるので一石二鳥ならぬ三鳥になります。

気持ちが前向きになったら、散歩に出てみましょう。人と接するのが苦手でも、まずは「近所の人に挨拶」を心がけてみませんか?挨拶ができたら次の会話ができるのも時間の問題です。

積極的に自分から挨拶する癖をつけてみましょう。

長期的に実践するのは難しいと思ったら、まずは3日間やってみましょう。

たとえ、3日坊主でも、それを積み重ねていけば、次は1週間、さらに次は2週間……とできるようになるかも。

少しずつできる期間を延ばしてみましょう。失敗しても次から頑張ればいいのです。

趣味や好きなことの集まりに参加してみよう

回避性パーソナリティ障害の人にとって、ストレス解消はとても大切なことです。

例えば、好きなことや趣味に没頭することは、心にゆとりをつくり、気持ちを穏やかにします。

また、同じ趣味の人と話をする機会を設けることで、多くの人と接することができます。好きなことや趣味は、話題にしやすいことなので自然と自分の意見を主張できるというのも大きなメリットです。

今まで趣味や好きなことがなかった人は、いっそのこと、それまでできなかったことを始めてみましょう。

大切なのは、人と比較せずに心から楽しむことです。今まで封印していた趣味や好きなことに、もう一度チャレンジしてみましょう。

元気が出てきたら、休日の農業体験や地域ボランティアなどイベントに参加するのもひとつの手です。

回避性パーソナリティ障害の治療

病院でのカウンセリングの写真

回避性パーソナリティ障害の治療は、心療内科や精神科などでうつ症状や眠れないといった不眠症状に対して薬物療法を行います。

それ以外には主に認知行動療法と呼ばれるカウンセリングを行います。

このカウンセリングは、回避性パーソナリティ障害の人が持っている「過剰な劣等感」や「マイナス思考」、「回避行動」という、認知や行動の歪みを修正することを目的としています。

カウンセラーや医師に、辛かったことや苦しかったことを話す中で、苦しみへの共感や受容を体験とするとともに、お互いに協同して問題を整理することから治療が始まります。

例えば、「近所の人に挨拶をしたら、今日は返されなかった。私は嫌われているに違いない」という患者の悩みに対して、カウンセラーは「それは、辛かったですね」「嫌われていると思う根拠は何ですか?」「他の見方はありませんか?」「もしかしたら、今日は忙しかったのかもしれませんね」と患者さんとともにネガティヴな見方を検討し、より柔軟な方向に修正してくれるのです。

回避性パーソナリティ障害を含め、多くのパーソナリティ障害は「自分の築いた狭い城」に閉じこもり、極端で狭い視野で物事を判断しています。

こういった閉じこもりや狭い視野を少し違う方向から切り込み、現実的な検討を重ねていくことで患者さん自らが自分の考えや行動を柔軟に選択できるようになることが認知行動療法の狙いです。

さまざまな要因が絡まりあって起こる、回避性パーソナリティ障害

女性の腕と花畑の写真出典:We Heart It

回避性パーソナリティ障害が発症する原因は必ずしも、「これ」と言われるものはありません。 人それぞれの個別の体験の中にそれは潜んでいます。

しかし、もしあなたが辛い過去や温かくなかった家族についてのこだわりや葛藤があるなら、一度そのことを理解してくれる誰かに相談してみませんか。

そこから、前進できる方法が見つかるかもしれません。

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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