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2016年11月24日 更新 | 2,568 views

「吉野家大爆笑事件」私の吃音人生史に残る大事件の話をしよう[コラム]

飲食店で注文ができない…。吃音者なら誰でも似たような経験があるはずです。つらいですよね、苦しいですよね、悔しいですよね。でも、独りで悩まないでください。同じ悩みを持っている人は、この世にあなた独りじゃないんです。仲間がいるんです。それを伝えたくて、私は自分の恥ずかしい過去をここで公開します。笑ってやってください。

私は吉野家がトラウマです。

吉野家がトラウマといっても、吉野家の食材や料理、店員の対応に問題があってトラウマになったわけではありません。吉野家で私が起こしたとある事件のせいで、私はトラウマで吉野家に入れなくなりました。

それは今から12年前、私がピチピチの男子中学生だったときのことです。夏休みのある日、塾の夏期講習でのお昼休憩のときに事件は起こりました。

お弁当を忘れたことが、すべてのはじまり

夏期講習は朝9時から夜7時までありました。あいだに1時間のお昼休憩があり、そこで友だちと一緒に昼食を食べます。

私はいつも母が作ったお弁当を持ってきて、友だちはコンビニ飯や外食店のテイクアウトを持ち寄って食べていました。

しかしその日、私はお弁当を家に忘れてきてしまいました。なので私も、友だちと一緒にコンビニに食事を買いに行こうとしました。すると友だちの1人が

「せっかくだからみんなで吉野家に行こうぜ!」

と言いました。吉野家、この名前は聞いたことがあるぞ。たしか牛丼屋だ…!というのも、私は吉野家に入ったことがありませんでした。

厳しい家庭に育った私は、外食をあまりさせてもらえず、吉野家のような牛丼ファーストフードを食べたことがなかったのです。

私はワクワクしていました。

お弁当を忘れたことを母に怒られる恐怖はどこかへすっ飛び、友だちと一緒に吉野家に行ける、吉野家の牛丼を食べられる、そう考えるだけでワクワクドキドキが止まりませんでした。

ただ、私には1つだけ不安な事がありました。

(ちゃんと注文できるかな...)

そして、この不安は現実のものとなるのです。

いざ、吉野家

塾から歩いて5分くらいのところに吉野家はありました。夏の太陽が照りつける中、すこし歩くだけでも汗が出てきます。私たちは急いで店内に入りました。

吉野家の店内は、私にとって新世界でした。カウンター席しかない店内、壁の上の方に表示されている牛丼メニュー、会話をすることなく黙々と牛丼を食べるお客さんたち...。そうか、これが吉野家なのか!!!

お店に入ったときはお昼どきでしたが、私たちはカウンター席にすぐ座ることができました。

涼しい店内で汗をひかせながら、私は"あるもの"を待っていました。待っているあいだ、私は表示されている牛丼メニューを見ながら、何を注文しようか考えていました。

しかし、いくら待っても"あるもの"は来ません。そして、友だちの1人が

「頼むもの決まったー?」

と言いました。いやいやいや、待てまて、そう焦るな。まだ来てないじゃないか、飲食店では必ずある"手元で見れるメニュー表"が。

「決まったよー。」

他の友だちが言いました。このとき、私は気づいてしまったのです。

(吉野家には手元で見れるメニュー表が…ないっ…!!!)

全身から汗がドバッと吹き出し、心臓が大きく脈打ちはじめるのがわかりました。

そう、このとき入った吉野家には、手元で見れるメニュー表がなかったのです。

吉野家でむかえてしまった、絶体絶命のピンチ

手元で見れるメニュー表がないとなぜ困るのか。これを説明するために、少し私の話をさせてください。

私は小さい頃から吃音(きつおん)持ち、俗にいう「どもり」です。吃音持ちの私は、"ふつうに"しゃべることが難しいのです。

吃音には主に連発タイプ難発タイプの2つがあります。「あああああありがとう」というように同じ言葉を繰り返してしまうのが連発タイプ。「……っありがとう」というように言葉が詰まってしまうのが難発タイプです。

当時の私は、連発タイプと難発タイプのどちらも症状としてあらわれていました。いじめや嫌われるのが怖くて、学校や塾では色々な方法を使って吃音を隠していました。

友だちに吃音がバレてしまうかもしれない...。いつかはこのタイミングが来ると思っていましたが、それが学校や塾ではなく吉野家だとは、私は夢にも思っていませんでした。

牛丼並盛りを注文する、ただそれだけのこと

私は焦っていました。手元にメニュー表があれば、指さし注文ができました。指さし注文とは、メニューに書かれている料理を指さしながら「これ」というやり方です。この方法だとわりと楽に注文できます。

しかし今、私の手元にメニュー表はありません。壁に表示されているメニューは遠く、指さしをしてもどれのことか相手に伝わらない距離にあります。

言いやすい言葉に置き換えることもできません。牛丼を「牛の肉の煮込みをのせたごはん」なんて言えない...。牛丼の「ぎゅ」よりも牛の「う」から始まるほうが言いやすいかもしれませんが、店員さんに伝わらないし、友だちから笑われてしまいます。

絶体絶命です。

私が食べたいのは牛丼です。厄介なことに量まで指定しなければいけない注文システムのようで、「牛丼並盛り」と言わなければいけません。

私は小さな声で何回も「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅ」「ぎゅうどんなみもりひとつ」と練習しました。どもらないように、最初の言葉がスムーズに出るように、変な風に聞こえないように…。

何回か「牛丼並盛り1つ」の発音練習をした後、深呼吸をして呼吸を落ち着かせました。幸いにも友だちが先に注文しそうなので時間はまだある。

あと少し深呼吸すれば準備は万端だ、と思ったそのときでした。

「おれ、並(なみ)1つ」

(えっ...!?)

私は友だちの言葉に耳を疑いました。彼は「並」と言ったのです。牛丼をつけずに、並だけを言ったのです。

私の頭の中はパニック状態になりました。並!? 並って何!? その注文の仕方どういうこと!? 牛丼って言わなくていいの!? なにそれ聞いてない! 牛丼って言ったら逆に恥ずかしいの? えっ、どういうことー!

こうなると、もう他の友だちの注文なんて聞こえません。私は悩んでいました。練習してきた「牛丼並盛り1つ」ではなく「並1つ」という言い方で注文するべきかどうか、必死に悩んでいました。

もしかしたら「並」の方がスマートな注文の仕方なのかもしれない、でもスムーズに「並」と言える自信がない。だったら練習してきた「牛丼並盛り1つ」と言おう。スマートじゃなくても言葉が出ないよりマシだ。

そうこう考えているうちに、とうとう私が注文する番です。

私は覚悟を決めました。

言う言葉は「牛丼並盛り1つ」。

たったこれだけ。

大丈夫、何回も練習した。

深呼吸して、ゆっくり息を吐きながら言う。

きっといける。大丈夫。

目の前に店員さんが来た…。

私は口を開き、注文を言いました。

...っ......っぎゅ...ぎぎっぎゅうどっん、、っなななみっ

文字だけ見ても笑えますよね。

実際にはこれをフルボイスで、その場にいた皆さんにお届けしました。

店員さんはポカーンとした顔で私を見ていました。友だちは大爆笑中。店内にいたお客さんからも笑い声が聞こえてきました。

「いま何て言ったの?笑」「ぎぎぎぎゅうどん?笑」と友だちは笑いながら質問してきます。店内には友だちの大きな笑い声と、見知らぬお客さんの小さな笑い声が響いてました。

私は恥ずかしくて、悔しくて、泣きたくて、ずっとうつむいていました。店員さんがあれで注文をくみとってくれたのが不幸中の幸いでした。店員さん、グッジョブ。

これが、吃音の私の人生史に残る「吉野家大爆笑事件」でした。

この後のことはほとんど覚えていません。初めての吉野家の牛丼の味も思い出せません。たぶん美味しかったはずなのですが、泣きたいのを我慢していた記憶しかありません。

これ以来、私は怖くて、この事件を思い出すのが嫌で、吉野家に行けなくなりました。

吃音を理解してほしいとは願わない、知ってほしいだけ

飲食店で注文する。

健常者には何ともないことかもしれませんが、私たち吃音者はこんな感じに葛藤するときがあります。「どれを食べたいか」よりも「どれが言いやすいか」で注文を決めることも少なくありません。

吃音って、こんな感じなんです。よく「どもるのは練習不足だ」と理解なき人に言われるのですが、練習しても、どもるものはどもるんです。それが吃音なんです。

吃音者の気持ちを、この苦しい気持ちをすべての人に理解してほしいとは思っていません。だって吃音者どうしでも、相手の苦しみを完璧に理解することは難しいのですから。

ただ、健常者の皆さんには知っておいてほしいです。

世の中には、あなたが当たり前にできることでも、別の人にとっては難しいことがあることを。そして、嫌われるのを恐れてそのことを言えない人がいるのです。

26才男性、吃音持ち、いまだに吉野家に入れず

吉野家大爆笑事件から10年以上が経ちました。今の吉野家にはカウンター席にメニュー表があるらしいのですが、メニュー表が無かったときのことを考えると、私は怖くて吉野家に入れません。

吉野家大爆笑事件から、私は成長しました。「俺も同じの1つ」という必殺技を習得したのです。これは複数人で外食するときに使える、どもりにくい注文方法です。欠点として、自分が食べるものを自分で選べません。

吃音自体は克服していません。連発タイプはなくなりましたが、難発タイプの吃音が私を苦しめています。必殺技を習得したし、メニュー表があれば指さしで注文します。

吃音も少しは改善したので、難発で最初の言葉が出ない確率も減りました。それでもまだ、注文するときにどもってしまい、店員さんに不思議な顔で見られるときがあります。

吃音者なら誰でも似たような経験があるはずです。つらいですよね、苦しいですよね、悔しいですよね。でも、独りで悩まないでください。同じ悩みを持っている人は、この世にあなた独りじゃないんです。仲間がいるんです。

これを伝えたくて、私は自分の恥ずかしい過去をここで公開しました。吃音で悩むあなたの助けになれば幸いです。

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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