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2016年02月29日 更新 | 10,660 views

ハイリスク&ハイリターンの不妊治療!体外受精の4つのリスク

体外受精には、卵巣過剰刺激症候群、麻酔の副作用、感染症など母体への身体的リスクや、多胎妊娠、キメラ、男性不妊の遺伝など胎児への身体的リスク、高額になりやすい治療費による金銭的リスク、治療を続けても妊娠できないリスクなど、さまざまなリスクが伴います。納得のいく体外受精のために、それらのリスクを知っておくことは大切です。

不妊に悩む人にとって、体外受精は有効な選択肢のひとつ。

タイミング法や人工授精などの一般妊娠法に比べると体外受精は妊娠成功率の高い不妊治療法ですが、それなりのリスクを伴う治療法でもあります。

一度や二度の治療で成功することはまれな治療法なので、治療期間が何年にもわたることが少なくない体外受精。

母体や胎児へのダメージや、治療にかかる費用、成功率など……この治療法がもつさまざまなリスクを把握したうえで、治療を受けるかどうかは冷静に判断しましょう。

この記事に書いてあること

  • 体外受精とは
  • 体外受精の伴う4つのリスク

そもそも「体外受精」ってなに?

ソファーにもたれかかってぼーっとしている女性

体外受精のリスクについて知る前に、そもそも体外受精とは何かということを押さえておきましょう。

体外受精(IVF)とは、通常体内で行われる卵子と精子の受精を体外で行い、受精、分割した卵(胚)を子宮内に移植する不妊治療法です。

この治療法は誰でも受けられるというわけではなく、妊娠を希望するカップルの男性か女性のいずれか、あるいは両方の生殖器官になんらかの問題があり、体外受精などのほかの方法では受精が難しい場合にのみ用いられます。

体外受精による不妊治療の流れ

体外受精は次のような5つのステップでおこなっていきます。

  1. 排卵
  2. 採卵
  3. 精子採取
  4. 受精
  5. 胚移植

まず、ホルモン剤や排卵誘発剤を使って排卵を促したあと、超音波で卵胞を見ながら、細長い採卵針で膣内から卵子が含まれる卵胞液を注射器で吸引します。

精子は自宅か病院内で採取したものを射精後2時間以内に病院に提出し、遠心分離器にかけて質の高いもののみを選り抜きます。

採取した卵子と精子をシャーレに入れ、受精させた受精卵を女性の膣から細いカテーテルを通して子宮内に戻し、着床を待ちます。

後日、血液検査か尿検査をおこない、妊娠に成功したか判定します。

体外受精の成功率

体外受精による妊娠成功率は20%~40%といわれており、同じ不妊治療法のタイミング療法や人工授精などに比べるとかなり高くなっています。

しかしながら、その成功率は20代では40%、40歳を迎えるころにはその半分の20%、さらに40代後半になると5%程度といわれ、年齢によって大きく変わってきます。

また、こうした数値はあくまでも「妊娠する(させる)能力」のある卵子と精子による体外受精の場合で、治療をおこなう卵子、あるいは精子それ自体の機能になにか問題があった場合には、この限りではありません。

体外受精が伴うリスク

体外受精が伴うリスクには、大きく分けて4種類のものがあります。

母体に生じる身体的リスク、胎児に生じる身体的リスク、治療費による金銭的リスク、それに治療を続けても妊娠することができないリスクです。

母体に生じる身体的リスク

体外受精に伴うさまざまな器具や薬剤の使用は、母体を傷つけたり感染症などを招いてしまうことがあります。

卵巣過剰刺激症候群

体外受精治療で排卵を促すのに使われる排卵誘発剤によって、さまざまな合併症を伴う「卵巣過剰刺激症候群」を発症する可能性があります。

もともと自然排卵周期では卵胞がひとつしかできないのですが、体外受精では、一度にたくさんの卵子を得るために排卵誘発剤によって複数の卵胞を成長させます。

なかには、たくさんの卵胞が一度に成長して、元々5センチほどの卵巣が10センチ前後まで腫れ上がり、腹水が大量にたまる、腹痛、お腹が張る、吐き気、尿量が減る、体重が増加する(1日1キログラム以上)、息苦しくなる、といった症状が出ることも。

「多嚢胞性卵巣症候群」の人、やせ型、排卵誘発剤への反応がいい年齢(18〜35歳)の人は、こうした症状を発症するリスクが高いとされています。

排卵誘発剤を投与する段階で卵巣過剰刺激症候群の症状が出た場合、排卵誘発剤の使用と採卵を中止します。

採卵後に症状が現れた場合は、胚移植を中止し、胚は凍結保存され、次の周期以降に移植が行われます。

採卵で起こるケガや麻酔の副作用

採卵はエコーの下、穿刺と呼ばれる針で慎重に行われますが、卵巣を傷つけるため、ごくまれに腹腔内出血を引き起こすことがあります。

採卵する卵子の数が多くなるほど負担がかかり、出血のリスクは高まります。

また、卵巣が通常の位置にはないために、膀胱を通過して針を刺さなくてはならない場合、膀胱出血が起こることがあります。

どちらも一時的な出血の場合が多いですが、症状によっては手術が必要になることも。

他にも、採卵時に強い麻酔を使用すると吐き気やめまいといった副作用が、弱い麻酔を使用すると採卵中に麻酔が効かず強い痛みを伴うことがあります。

感染症

ごくまれに、採卵時に膣内の細菌が腹腔内に入ることで、骨盤内感染症になることがあります。この感染症により、発熱や腹痛などの症状が起こることも。

特に、チョコレート嚢腫や卵管水腫、骨盤腹膜炎を起こしたことがある人は、注意する必要があります。

流産率の上昇

体外受精の流産率は、自然妊娠の2倍というデータがあります。

これは、体外受精をおこなう人がもともと妊娠しても胎児が育ちにくい母体であったり、高齢であったりすることも少なくないことがおもな原因といわれていますが、度重なる体外受精によって母体に蓄積されたダメージの影響も少なからずあるのではという指摘もあるようです。

いずれにしても、体外受精が心身ともに母体に負担をかける治療法であることは間違いありません。

胎児に生じる身体的リスク

現在は限定的におこなわれているものですが、体外受精時に複数の胚を移植する行為は多胎妊娠など胎児に影響を与えることも。

多胎妊娠

多胎妊娠とは、2つ以上の胚で双子や三つ子など、複数の胎児を妊娠することです。

現在日本では、基本的に子宮に戻す胚はひとつと決まっているので、以前のように体外受精=多胎妊娠ではなくなってきています。

しかし、高齢の人の体外受精は2つの胚を移植することが認められています。この場合、多胎妊娠のリスクが高まります。

多胎妊娠になると、早産や未熟児の出産率が高くなるほか、脳性小児まひのリスクが単胎妊娠の4.6倍に。

さらに多胎妊娠によって、羊水の異常、発育不均衡、胎位異常などの合併症が発症率が高まるおそれがあります。

キメラ

「キメラ」とは、1人の身体の中に異なる遺伝子情報を持つ細胞が混じっている状態です。

多胎妊娠の場合で、胚盤胞を複数胚移植した場合に胎児の身体がこのような状態が生じる可能性が指摘されています。

複数の胎児の造血細胞が混じり合い、本来1人あたり1種類しかもたないはずの造血細胞を複数もつ「血液キメラ」の場合、血液型がはっきりせず、輸血が必要になった時に処置が遅れる恐れがあります。

男性不妊の遺伝

その子の父親にあたる男性が先天的な不妊であった場合、不妊の遺伝子が赤ちゃんに遺伝することも。

不妊は女性だけでなく、男性に問題がある場合も少なくないので、体外受精で生まれた赤ちゃんが男の子であれば、将来的に父親と同じ不妊の遺伝子を持つ可能性があります。

その他、未知数の影響

体外受精は、20〜35年ほど前に確立したまだまだ新しい医療技術。

不妊治療法として定着してきてはいますが、体外受精によって生まれた子どもたちの健康状態を調べる研究は始まったばかり。

今後の研究で、体外受精によって生まれた子どもたちの身体にこの治療法によってもたらされたなんらかの悪影響が及んでいることが判明する可能性も否定することはできません。

金銭的リスク

夫婦の不妊症の程度によって異なりますが、一回あたりの体外受精にかかる平均費用は約50万円です。症状によっては、100万円近い費用がかかる場合もあります。

一回の体外受精で妊娠できることはまれで、体外受精によって妊娠に成功した人は、治療を何度かくり返してようやく授かったというパターンが多いようです……当然、くり返せばくり返しただけ費用が高額になります。

また、採取した精子を卵子に人工的に直接受精させる「顕微授精」を行った場合、通常の体外受精に比べて約10万円ほど高くなるようです。

治療を続けても妊娠できないリスク

体外受精によって妊娠への活路を見出すことができるのは、「卵子と精子ともに妊娠する(させる)能力はあるものの、受精がうまくいかない」という場合。

そもそも卵子や精子の質に問題がある場合や、子宮内環境の悪化などが不妊につながっている場合は、体外受精による不妊治療では解決しません。

しかしながら、「高齢だから」「手っ取り早く妊娠できそうだから」などという理由で体外受精を選択し、何度もくり返しては失敗している人も少なくないようです。

不妊の原因をきちんと解明するためには、病院選びが大切。

病院によっては、母体となる女性側の診察はしても男性側の診察を行わないなど「男性不妊」に対する意識の低いところもあるようですが、不妊の原因は男性側にあることも少なくないものなので、体外受精は母体だけでなくきちんと「父体」とも向き合ってくれる病院で受けましょう。

妊娠率を高めること優先し、自然妊娠やタイミング法などによる一般不妊治療などの選択肢を与えずに体外受精などの高度生殖医療による治療を提案してくる病院なども避けたほうがいいでしょう。

体外受精を受けるかは、リスクを把握したうえで判断することが大切

体外受精を受ける人は妊娠したいと強く思うあまり、リスクを知ることに消極的な傾向があります。

しかし、本来の目的は、健康な赤ちゃんを授かることです。体外受精はそのための手段のひとつに過ぎません。

どんな場合に体外受精を行うのがいいのか、他の選択肢はないのか、子どもにどんな影響を残すのか、どんな治療を受けるのかなど……自分から病院側にきちんと説明を求め、この治療法のメリットだけでなくリスクも聞いたうえで、体外受精を選択するかどうかを決めましょう。

何事にもリスクはつきもの。

体外受精についても、納得の行く治療を受けるためには、そのリスクを知ったうえで冷静に判断することが大切なのではないでしょうか。

まとめ:体外受精の4つのリスク

体外受精とは

  • 体外受精とは、採取した卵子と精子をシャーレの上で受精させ、母体に戻すことで妊娠を図る不妊治療
  • 女性と男性のどちらか、あるいは両方の生殖器官に問題があり、ほかの方法では妊娠できない場合のみ受けられる治療法
  • 妊娠成功率は20%~40%と不妊治療の中では高め、しかし年齢によっても大きく異なる

体外受精が伴う4つのリスク

  • 卵巣過剰刺激症候群、麻酔の副作用、感染症など母体への身体的リスク
  • 多胎妊娠、キメラ、男性不妊の遺伝など胎児への身体的リスク
  • 高額になりやすい治療費による金銭的リスク
  • 治療を続けても妊娠することができないリスク

written by あーるぐれー

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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