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2016年07月27日 更新 | 2,804 views

閉経年齢は20代まで低下!不妊をまねく卵巣機能不全の治療とは?

ウイメンズクリニック南麻布 院長 清水敬生

この記事は、ウイメンズクリニック南麻布 院長 清水敬生が監修しています。

近年では卵巣機能不全による閉経年齢の低下が問題視され、20代後半で閉経し不妊に悩む例もあるのだとか。閉経年齢が低くなる人には、月経不順気味で母親の閉経が早い、ストレスがある、喫煙や飲酒の習慣がある、極端なダイエットなどで体重の増減が激しい、などの共通点があります。採血だけで行えるLH/FSH検査やAMH検査で妊娠可能な卵子の数を調べて、人生計画を立てましょう。卵巣機能不全には、ホルモン治療、食事療法、生活習慣の見直しなどが有効です。

あなたは「閉経年齢」を意識していますか?

一般的に「閉経は50歳前後」と考えられていますが、卵巣機能は個人差が大きく、近年の閉経年齢は低下の一途をたどっています。

そして、妊娠希望の強い30代で閉経する女性は、100人に1人以上にも増えつつあります。

早発閉経は不妊に深く関わるものでもあるので、適切な検査を受けて、すぐに対策しましょう!

まず、閉経と無月経は何が違う?

考える女性の写真

無月経と閉経は似ているようで、実際は大きな違いがあります。

無月経は極度のストレスや体重の増減で一時的に卵巣の機能が休止した状態をいい、比較的手軽なケアでふたたび排卵、つまり月経が戻ってくる可能性が高いとされています。短期間の無月経であれば、生活習慣の見直しだけで回復する例もあります。

一方、閉経は完全に卵巣の機能が停止するため、妊娠できる可能性はほぼゼロに近く、専門的な治療をしても卵巣機能が回復する可能性が極めて低いのが特徴です。

※長い期間で無月経が続くと、閉経と同等の治療が必要になることもあります。

不妊と深い関わりのある閉経年齢とは?

女性が年齢を重ねていく様子の写真

まず、閉経とは加齢のなかの自然な現象として月経が終わること。そして、閉経年齢は、その名のとおり閉経する年齢のことを指します。

閉経年齢は、通常では50歳前後(45歳から55歳)と考えられています。一方、早発閉経については、日本産科婦人科学会では「閉経が43歳未満までに起こること」としていますが、国際的には「40歳未満で閉経すること」と定められています

また、閉経年齢の3〜5年前までの期間は妊娠しづらいといわれます。つまり閉経年齢が50歳なら、45〜47歳の間は妊娠できる可能性が低くなってしまうということです。

実は「閉経の低年齢化」が進んでいる!

最近では閉経年齢の低下が問題視されていて、20代後半で閉経した人もいるのだとか。

しかし、これは特別なケースではなく、30代で閉経する人が年々増えており、その前倒しの現象にすぎないようです。

では、早発閉経が現れる人には、どのような特徴があるのでしょうか?

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の7つの特徴

早発閉経の原因ははっきりとは解明されていないのですが、その兆候がある人にはいくつかの共通点が見られるそうです。

自分にあてはまるものがないか、チェックしてみましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴1:月経不順で、母親の閉経が早い

カレンダーの写真

早期の閉経が見られる人のなかには、「月経が高校卒業の頃には年に3〜4回、20代後半では1年に1回、または1年に一度もないときもあった」という例があるそう。

程度はさほどひどくなくても、もともと月経不順の傾向があるという人は早発閉経に陥る可能性があるので、すみやかに婦人科を受診しましょう。

月に2回以上月経がある、2〜3か月の間に一度も月経が来ない、または1〜2か月ごとに月経はあるけれど量が極端に少ない、月経の期間が短いという人は、 月経不順の可能性が高いといえます。

また、閉経の早さには、先天的な要因(遺伝)も深く関わっています。お母さんやお祖母さんの閉経年齢を知っていますか?月経痛の程度や安産か難産か、そして閉経年齢については遺伝傾向が強いといわれます。

聞きづらいことかもしれませんが、医師の診断を受ける際にわかりやすい指標となるはずなので、確認しておきましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴2:自己免疫疾患がある

自己免疫疾患では、異物を排除するためにはたらく免疫系が正常な細胞に対して過剰に反応し、攻撃をしてしまい、これにより卵巣機能不全が現れると考えられています。

自己免疫疾患で多いものは、甲状腺関節リウマチです。そのほかでは、全身性エリテマトーデス(ループス)血管炎などが挙げられます。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴3:婦人科の手術歴がある

婦人科でのカウンセリングの様子の写真

女性ホルモンのエストロゲンは卵巣から分泌されるため、子宮の手術(筋腫核出など)を受けても閉経しないはずですが、手術時に卵巣へ向かう血管を傷つけると、術後に予定より早く閉経することがまれにあるようです。

また、卵巣はふたつあるので、ひとつを摘出しても妊娠する能力が半分になることはありませんが、卵巣や骨盤の手術中に卵巣の血管を傷つけると早発閉経が起きることも

このようなトラブルを避けるためには、当然のことではありですが、手術は信頼できる技術力の高い医師にお願いしましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴4:腹部への放射線や抗がん剤での治療の経験がある

がんの治療で、腹部への放射線を浴びたり、抗がん剤を投与されたりなどの経験がある人は、閉経が早まる傾向にあります。

放射線や抗がん剤はがん細胞と一緒に正常な細胞も傷つけてしまい、卵子が減少して閉経につながります。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴5:感染症にかかったことがある

注射をしている様子の写真

結核、流行性耳下腺炎(おたふく風邪、Mumps)が早発閉経にかかわる大きな原因として考えられます。特におたふく風邪では、髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎が合併症として知られています。

男性で約20~30%に睾丸炎、女性では約7%に卵巣炎を発症し、その結果、男性は不妊に、女性は早発閉経に陥るようです。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴6:生活習慣が乱れている

喫煙は百害あって一利なしです。

米国の権威ある「Mayo Clinic」の研究で、たばこには抗エストロゲン作用があり、長期喫煙者は早発閉経を起こしやすいと報告されています。

また、ストレスだけでは早発閉経は起こらないようですが、男性に負けないほどのハードワーカーや、深夜の就寝などの過度のストレスがある場合は、早発閉経に関与することがあるため注意が必要です。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴7:BMIが低い(痩せている)

拒食をしている女性の写真

日本の研究者の論文では、痩せた女性ほど早く閉経することが明らかにされています。

過度のダイエットは、美容だけでなく卵巣にとっても危険ですから控えましょう。

早発閉経の症状とは

頭を抱える女性の写真

早発閉経の症状は、更年期障害で現れるものとほぼ同じです。具体的には下記のような不調をうったえる人が多いようです。

  • 月経不順(月に2回以上月経がある、または2〜3か月の間に一度も月経が来ない)
  • 気分の浮き沈みが激しい。うつっぽい。
  • ほてりやのぼせが現れる
  • 膣の乾燥感、性交痛
  • 疲れやすい。動悸、耳鳴り、睡眠障害
  • 皮膚、目、口の乾燥
  • 膀胱炎症状(頻尿等)

閉経が早くに起こる人は、実年齢よりも体が老いているのが特徴です。そのため、通常では閉経後女性に現れる骨粗しょう症や心臓疾患のリスクが高まるといわれています。

若い(40〜45歳以下)にもかかわらず、ここで挙げたような症状がある人はもちろん、30歳以上で妊娠希望の女性は検査を受けて、自分のホルモン状態について把握しておきましょう!

LH/FSH検査とAMH検査で、自分のホルモン状態を知ろう

分離した血液の写真

早発閉経の指標となるのはLH/FSH検査AMH検査です。どちらの検査も採血をするだけで手軽に受けることができます。

1:LH/FSH検査

LH/FSH検査では、今現在のホルモンの状態が、まだ若いか、妊娠できるかを知ることが可能で、排卵時期でないときに採血するよう勧められています。

LH/FSH検査は古くからある基本的な検査のため、保険が適用される場合もあります。

FSHでわかるホルモン状態は、「若い」、「更年期」、「閉経」の3段階に分類されます(下記の表参照)。

LH/FSH検査表2

2:AMH検査

AMH検査では、何歳まで妊娠可能か、閉経が早く来るのか、まだ閉経しないかなどについて知ることができます。

AMH検査とは?検査で分かることは?

AMH検査は、卵巣内の発育途中の原子卵胞から分泌されるホルモン「AMH(anti-mullerian hormone:抗ミュラー管ホルモン)」の量(濃度: ng/ml)を採血によって測り、妊娠できる可能性を持つ卵子がどの程度残っているかを調べる検査で、不妊治療では必須です。 

検査の結果によって、何歳まで妊娠が可能か、さらに閉経が早く起こるかについても知ることができ、妊娠の計画や卵巣機能不全対策を立てることができます。 

AMH検査は、不妊治療を行うクリニックでは必ず行われますが、不妊クリニックを受診し、AMHだけ受けることは難しいかもしれません。

不妊治療専門以外の産科・婦人科クリニックでは、採血の際に依頼すれば検査が可能です。検査の費用は保険適用外で、6,000〜14,000円とクリニックによって幅があります。

この記事の監修医師である清水敬生医師が院長をつとめるウィメンズクリニック南麻布は、本来は腫瘍専門クリニックですが、患者さんの多くは30代で、未産婦、あるいは妊娠希望が多いのだそうです。

そして、患者さんからの強い要望で、2012年から腫瘍外来で採血をする際にホルモン検査を行うようになったとのことです。

AMH検査の流れ

AMH検査はとても手軽なもので、腫瘍マーカーや貧血、一般のホルモン検査が目的の採血の際に、検査項目を追加するだけ内診などは不要です。

また食事摂取や前日の飲酒も無関係で、ピルを含めた薬の影響もありません

判定はクリニックではなく外部の検査機関に委託されることが多く、結果が出るまでには1週間かかります。結果の通知については、対面で行うか、郵送で書面を送るかを選ぶことができます。

診断結果の見方は?

AMH値は個人差が大きく、年齢ごとの正常値というものは存在しません。ただし、高齢になるほど低下していくことは間違いありません。

  • 30歳:5ng/ml
  • 35歳:3.5 ng/ml
  • 40歳:1.8〜2 ng/ml
  • 45歳:1.0 ng/ml

おおよそですが、期待値としては上記が目安でしょうか。一時期の数値よりも、半年後、1年後の経過が大切です。

ホルモン量は値自体の個人差が大きいだけでなく、減少の仕方にも個人差があります。また、必ずしも下がる一方ではなく、生活習慣の改善により、上昇することもめずらしくありません

思ったより悪い結果が出ても、悲観的にならずに、自分にできる対策から始めてみましょう!

卵巣を若々しく保つための方法

閉経を遅らせて、妊娠可能な期間を延長させるための医学的根拠に基づいた方法は、残念ながらありません。

しかし、以下の方法により、妊娠の可能性を確実に高めることはできないにしても、卵巣のアンチエイジング的なケアはできると考えられています。

そのための方法として、カウフマン療法HRT(ホルモン補充療法)などのホルモン治療、食事療法生活習慣の見直しが挙げられます。

ホルモン療法

ホルモン剤の写真

1:カウフマン療法

カウフマン療法は、正常な若い女性の排卵を伴う月経周期を、人工的にホルモン剤(おもに中用量ピル)を用いて疑似的につくる方法です。

この治療を行う目的は、おもに3つに分かれます。

  • おもに20〜30代で月経不順の女性:ホルモンバランスを整えて基礎体温を低温期と高温期の二相性にし、月経が起きるようにする
  • 体外受精の採卵後:卵巣を一周期休ませて、次の月経周期を整える(排卵誘発剤を使用すると卵巣機能が亢進し、ホルモンバランスが乱れることがあるため)
  • 35〜40歳以上で妊娠希望の女性:卵巣機能を高めて排卵誘発剤の反応を良くする

2:HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)は、卵巣のエイジングケアだけでなく、更年期障害の症状の緩和にも用いられる治療です。

〈低用量ピル〉

低用量ピルはエストロゲンの含有量が少ないため、HRTとして不十分かもしれません。しかし、更年期障害への対処が目的なら良いでしょう。

なぜなら、ピルを服用することで毎月月経が来るため、長期治療による子宮内膜がんや乳がんの予防が可能で、かつ卵巣がんも防ぐことができるからです。

〈HRT(ホルモン補充療法)用のエストロゲン製剤〉

HRT(ホルモン補充療法)用のエストロゲン製剤は、内服、体に塗る、貼る、子宮内に入れるなど、投与方法が多様なので、医師にそれぞれのメリット、デメリットについて確認しましょう。

また、エストロゲン製剤単独よりも、黄体ホルモン剤も併用する方が、低用量ピルと同様に月経を起こして子宮内膜がんを予防するために良いと考えられています。

食事療法

さまざまな種類の食品の写真

閉経年齢の低下を防ぐためには、体の土台をつくる、抗酸化、ホルモンの活性がおもなポイントとなります。

体をつくり、冷えを改善するタンパク質

タンパク質には皮膚や血管、筋肉など体をつくり、冷えを解消する効果があるとされています。

タンパク質は、卵、肉類、魚類、豆類、乳製品に多く含まれます。

抗酸化にはビタミンCやアスタキサンチン

抗酸化物質は、肌のアンチエイジングではすでに広く知られていますが、卵巣の老化防止や機能維持にも欠かせません。

ビタミンCは、フルーツ・ピーマン・ジャガイモ・芽キャベツなどに多く含まれ、アスタキサンチンが豊富な食品はエビ・カニ・サケが挙げられます。

ホルモンの活性には亜鉛

亜鉛は卵巣だけでなく精巣のはたらきも活性します。

亜鉛は、カキ・ホタテ・山芋・里芋・パルメザンチーズなどに多く含まれますが、どの食品も大量に摂るのは難しいので、サプリメントなどを利用しても良いでしょう。

生活習慣の見直し

寝ている女性の写真

先述のように、ストレスは閉経年齢の低下の原因となります。

ですので、日常生活ではなるべくストレスを溜めないようにし、健やかな心身を保つように心がけましょう。

質の良い睡眠は、疲れた心と体を深く癒やします。なるべく早寝を心がけ、睡眠時間を6〜7時間確保します。

そして、就寝する1時間前までに入浴して寝るまでに体温を下げ、成長ホルモンの分泌を促しましょう。

湯ざめしてから寝ることは、風邪の予防にもなり、入浴と睡眠の関係でもっとも重要です。

また、適度な運動はストレス解消に効果的なので、ランニングやヨガなど、無理のない範囲で取り組むのがおすすめです。

さらに、繰り返しになりますが、過度のダイエットは禁物です。

不妊に悩むことがないよう、閉経年齢を高めよう

すでに体に異変が起きている人も、もしかすると……という人も、まずは血液検査でLH/FSH検査とAMH検査を受けて、自分の卵巣がどのような状態なのかを知ることが大切です。

そのうえで、緊急性があれば医師のもとで治療に取り組んでみましょう。

また、卵巣に問題がない場合でも、なるべく閉経を遅らせるために食事や生活習慣に気をつけるのは良いことです。

不妊治療は心身に大きなストレスを与えるだけでなく、経済的な負担も大きいものですから、苦労をしなくて済むように今から対策を始めましょう!

※ 記事の内容は、医学的な正確性、効能、効果を保証するものでなく、かつ、記事の利用においてはしかるべき資格を有する医師や薬剤師等に個別に相談するなど読者の責任において行ってください。

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