2017年02月17日 更新 | 9,357 views

卵巣機能不全で閉経が早まる!? 卵巣機能不全の予防&治療法

卵巣の機能不全で閉経年齢が低下すると、20代で閉経して不妊に悩む例もあるそう。閉経年齢が低い人に共通する、ストレスや喫煙などいくつかのポイントを確認しましょう。卵巣機能は、ホルモン治療、食事療法、生活習慣の見直しでの改善が期待できます。

ウイメンズクリニック南麻布 院長 清水敬生

この記事は、ウイメンズクリニック南麻布 院長 清水敬生先生が監修しています。

あなたは「閉経年齢」を意識していますか?

一般的に「閉経は50歳前後」と考えられていますが、卵巣機能は個人差が大きく、近年の閉経年齢は低下しているといわれています。

そして、妊娠を希望する人が多い30代のうちに閉経する女性は、100人で1人以上いて、増えつつあります。

早期の閉経は、不妊に深く関わることがあります、適切な検査を受けて早期対策を心がけましょう。

目次

まず、閉経と無月経は何が違う?

考える女性の写真

無月経と閉経は似ているようで、大きな違いがあります。

無月経は、極度のストレスや体重の増減で一時的に卵巣の機能が休止した状態を指し、比較的手軽なケアでふたたび排卵が起こり、月経が戻る可能性が高いとされています。そのため、短期間の無月経であれば、生活習慣の見直しで回復する例もあります。

一方、閉経は、完全に卵巣の機能が停止するため、妊娠できる可能性はほぼゼロに近いとされています。そのため、専門的な治療をしても卵巣機能が回復する可能性が極めて低いのが特徴です。

※長い期間で無月経が続くと、閉経と同等の治療が必要になることもあります。

不妊と深い関わりのある閉経年齢とは?

女性が年齢を重ねていく様子の写真

まず、閉経とは加齢のなかの自然な現象として月経が終わること。そして、閉経年齢とは、その名のとおり閉経が起こる年齢のことを指します。

閉経年齢は、通常50歳前後(45歳から55歳)と考えられています。

一方、早発閉経の場合、日本産科婦人科学会では「閉経が43歳未満までに起こること」、国際的には「40歳未満で閉経すること」と定められています

また、閉経年齢の3〜5年前の期間は妊娠しづらいといわれます。つまり閉経年齢が50歳なら、45〜47歳の間は妊娠できる可能性が低くなってしまうということです。

実は「閉経の低年齢化」が進んでいる!

最近では閉経年齢の低下が問題視されていて、なかには20代後半で閉経した人もいるのだとか。

近年、30代で閉経する人が年々増えており、その前倒しの現象ではないかといわれています。

では、早発閉経が現れる人には、どのような特徴があるのでしょうか?

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の7つの特徴

早発閉経の原因は、はっきりとは解明されていないのですが、その兆候がある人にはいくつかの共通点が見られるそうです。

自分にあてはまるものがないか、チェックしてみましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴1:月経不順で、母親の閉経が早い

カレンダーの写真

早期の閉経が見られる人のなかには、「月経が高校卒業の頃には年に3〜4回、20代後半では1年に1回、または1年に一度もないときもあった」という例があるそう。

程度はさほどひどくなくても、もともと月経不順の傾向があるという人は早発閉経に陥る可能性があるので、すみやかに婦人科を受診しましょう。

月に2回以上月経がある、2〜3か月の間に一度も月経が来ない、または1〜2か月ごとに月経はあるけれど量が極端に少ない、月経の期間が短いという人は、 月経不順の可能性が高いといえます。

また、閉経の早さには、先天的な要因(遺伝)も深く関わっています。お母さんやお祖母さんの閉経年齢を知っていますか?月経痛の程度や安産か難産か、そして閉経年齢については遺伝傾向が強いといわれます。

聞きづらいことかもしれませんが、医師の診断を受ける際にわかりやすい指標となるはずなので、確認しておきましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴2:自己免疫疾患がある

自己免疫疾患では、異物を排除するためにはたらく免疫系が正常な細胞に対して過剰に反応し、攻撃をしてしまい、これにより卵巣機能不全が現れると考えられています。

自己免疫疾患で多いものは、甲状腺関節リウマチです。そのほかでは、全身性エリテマトーデス(ループス)血管炎などが挙げられます。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴3:婦人科の手術歴がある

婦人科でのカウンセリングの様子の写真

女性ホルモンのエストロゲンは卵巣から分泌されるため、子宮の手術(筋腫核出など)を受けても普通閉経しません。

しかし、手術時に卵巣へ向かう血管を傷つけると、術後に予定より早く閉経することがまれにあるようです。

このようなトラブルを避けるために、手術は信頼できる技術力の高い医師にお願いしましょう。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴4:腹部への放射線や抗がん剤での治療の経験がある

がんの治療で、腹部への放射線を浴びたり、抗がん剤を投与されたりなどの経験がある人は、閉経が早まる傾向にあります。

放射線や抗がん剤は、がん細胞と一緒に正常な細胞も傷つけてしまうことがあり、その場合卵子が減少して早期の閉経につながってしまうそうです。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴5:感染症にかかったことがある

注射をしている様子の写真

結核、流行性耳下腺炎(おたふく風邪、Mumps)は、早発閉経にかかわる大きな原因と考えられます。

特におたふく風邪は、髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎、難聴、膵炎などの合併症があるといわれています。

男性で約20~30%に睾丸炎、女性では約7%に卵巣炎を発症し、その結果、男性は不妊に、女性は早発閉経に陥るとされています。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴6:生活習慣が乱れている

米国の権威ある「Mayo Clinic」の研究で、たばこには抗エストロゲン作用があり、長期喫煙者は早発閉経を起こしやすいと報告されています。

また、ストレスだけで早発閉経は起こらないようですが、男性に負けないほどのハードワーカーや、深夜の就寝などの過度のストレスがある場合は、早発閉経に関与することがあるとされているため注意が必要です。

閉経年齢が低く、不妊になりやすい人の特徴7:BMIが低い(痩せている)

拒食をしている女性の写真

日本の研究者の論文では、痩せた女性ほど早く閉経するとされています。

過度のダイエットは、美容だけでなく卵巣にとっても危険ですから控えるようにしましょう。

早発閉経の症状とは

頭を抱える女性の写真

早発閉経の症状は、更年期障害で現れるものと似ています。具体的には、下記のような不調を訴える人が多いようです。

  • 月経不順(月に2回以上月経がある、または2〜3か月の間に一度も月経が来ない)
  • 気分の浮き沈みが激しい。うつっぽい。
  • ほてりやのぼせが現れる
  • 膣の乾燥感、性交痛
  • 疲れやすい。動悸、耳鳴り、睡眠障害
  • 皮膚、目、口の乾燥
  • 膀胱炎症状(頻尿等)

閉経が早くに起こる人は、実年齢よりも体が老化しているといわれています。そのため、通常は閉経後に現れるとされる、骨粗しょう症や心臓疾患のリスクが早くから高まるそうです。

若い(40〜45歳以下)にもかかわらず、ここで挙げたような症状がある人はもちろん、30歳以上で妊娠希望の女性は検査を受けて、自分のホルモン状態について把握しておきましょう!

LH/FSH検査とAMH検査で、自分のホルモン状態を知ろう

分離した血液の写真

早発閉経の指標となるのはLH/FSH検査AMH検査です。どちらの検査も採血をすれ ば結果が出るので、比較的手軽に受けることができます。

1:LH/FSH検査

LH/FSH検査では、今現在のホルモンの状態が、妊娠できる若い状態かを知ることが可能で、排卵時期以外の採血が勧められています。

LH/FSH検査は、古くからある基本的な検査で、保険が適用されることもあります。

FSHでわかるホルモン状態は、「若い」、「更年期」、「閉経」の3段階に分類されます(下記の表参照)。

LH/FSH検査表2

2:AMH検査

AMH検査では、何歳まで妊娠可能か、閉経が早く来るのか、まだ閉経しないかなどについて知ることができます。

AMH検査とは?検査で分かることは?

AMH検査は、卵巣内の発育途中の原子卵胞から分泌されるホルモン「AMH(anti-mullerian hormone:抗ミュラー管ホルモン)」の量(濃度: ng/ml)を採血によって測り、妊娠できる可能性を持つ卵子がどの程度残っているかを調べる検査で、不妊治療では必須です。 

検査の結果によって、何歳まで妊娠が可能か、さらに閉経が早く起こる可能性についても知ることができるので、妊娠の計画や卵巣機能不全対策を立てることができます。 

AMH検査は、不妊治療を行う多くのクリニックで受けられますが、不妊クリニックを受診し、AMHだけを受けることは難しいかもしれません。

不妊治療専門以外の産科・婦人科クリニックでは、基本的に採血時に依頼すれば検査が可能です。検査の費用は保険適用外で、6,000〜14,000円ほどとクリニックによって幅があります。

この記事の監修医師である清水敬生医師が院長をつとめるウィメンズクリニック南麻布は、本来は腫瘍専門クリニックですが、患者さんの多くは30代で、未産婦、あるいは妊娠希望が多いのだそうです。

そして、患者さんからの強い要望で、2012年から腫瘍外来で採血をする際にホルモン検査を行うようになったとのことです。

AMH検査の流れ

AMH検査は比較的手軽に受けられる検査で、腫瘍マーカーや貧血、一般のホルモン検査目的の採血時に、検査項目を追加するだけで受けられます内診などは不要です。

また食事摂取や前日の飲酒、ピルを含めた薬の影響がほとんど出ないのが特徴です。

判定はクリニックではなく外部の検査機関に委託されることが多く、結果が出るまでには1週間かかります。結果の通知については、対面で行うか、郵送で書面を送るかを選ぶことができます。

診断結果の見方は?

AMH値は個人差が大きく、年齢ごとの正常値は存在しません。ただし、一般的に高齢になるほど低下していきます。

  • 30歳:5ng/ml
  • 35歳:3.5 ng/ml
  • 40歳:1.8〜2 ng/ml
  • 45歳:1.0 ng/ml

おおよそ期待値としては上記が目安になります。一時期の数値よりも、半年後、1年後の経過に注目することが重要です。

ホルモン量は値自体の個人差が大きいだけでなく、減少の仕方にも個人差があります。また、必ずしも下がる一方ではなく、生活習慣の改善により、上昇することもそこまで珍しくはありません

思ったより悪い結果が出ても、悲観的にならずに、自分にできる対策から始めてみましょう!

卵巣を若々しく保つための方法

閉経を遅らせて、妊娠可能な期間を延長させるための医学的根拠に基づいた方法は、現在のところ見つかっていません。

しかし、以下の方法により、妊娠の可能性を高めるとされる卵巣のケアはできると考えられています。

そのための方法として、カウフマン療法HRT(ホルモン補充療法)などのホルモン治療、食事療法生活習慣の見直しが挙げられます。

ホルモン療法

ホルモン剤の写真

1:カウフマン療法

カウフマン療法は、正常な若い女性の排卵を伴う月経周期を、人工的にホルモン剤(おもに中用量ピル)を用いて疑似的につくる方法です。

この治療を行う目的は、おもに3つに分かれます。

  • おもに20〜30代で月経不順の女性:ホルモンバランスを整えて基礎体温を低温期と高温期の二相性にし、月経が起きるようにする
  • 体外受精の採卵後:卵巣を一周期休ませて、次の月経周期を整える(排卵誘発剤を使用すると卵巣機能が亢進し、ホルモンバランスが乱れることがあるため)
  • 35〜40歳以上で妊娠希望の女性:卵巣機能を高めて排卵誘発剤の反応を良くする

2:HRT(ホルモン補充療法)

HRT(ホルモン補充療法)は、卵巣のエイジングケアだけでなく、更年期障害の症状の緩和にも用いられる治療です。

〈低用量ピル〉

低用量ピルは、エストロゲンの含有量が少ないため、HRTとして不十分かもしれません。しかし、更年期障害への対処が目的の場合は、試してみることをおすすめします。

なぜなら、ピルを服用して毎月月経が来れば、長期治療による子宮内膜がんや乳がんの予防や卵巣がん予防効果が期待できるからです。

〈HRT(ホルモン補充療法)用のエストロゲン製剤〉

HRT(ホルモン補充療法)用のエストロゲン製剤は、内服、体に塗る、貼る、子宮内に入れるなど、投与方法が多様なので、医師にそれぞれのメリット、デメリットについて確認しましょう。

また、エストロゲン製剤単独よりも、黄体ホルモン剤も併用する方が、低用量ピルと同様に月経を起こして子宮内膜がんを予防するために良いと考えられています。

食事療法

さまざまな種類の食品の写真

閉経年齢の低下を防ぐためには、体の土台をつくる、抗酸化、ホルモンの活性がおもなポイントとなります。

体をつくり、冷えの改善が期待できるタンパク質

タンパク質には皮膚や血管、筋肉など体をつくり、冷えを解消するとされています。

タンパク質は、卵、肉類、魚類、豆類、乳製品に多く含まれます。

抗酸化にはビタミンCやアスタキサンチン

抗酸化物質は、肌を若々しく維持するために良いとされていますが、卵巣の老化防止や機能維持にも良いそうです。

ビタミンCは、フルーツ・ピーマン・ジャガイモ・芽キャベツなどに多く含まれ、アスタキサンチンが豊富な食品はエビ・カニ・サケが挙げられます。

ホルモンの活性には亜鉛

亜鉛は卵巣だけでなく精巣のはたらきの活性化も期待できます。

亜鉛は、カキ・ホタテ・山芋・里芋・パルメザンチーズなどに多く含まれますが、どの食品も大量に摂るのは難しいので、サプリメントなどを利用しても良いでしょう。

生活習慣の見直し

寝ている女性の写真

ストレスは、閉経年齢の低下の原因となります。

ですので、日常生活ではなるべくストレスを溜めないようにし、健やかな心身を保つように心がけましょう。

質の良い睡眠は、疲れた心と体を深く癒やします。なるべく早寝を心がけ、睡眠時間を6〜7時間確保します。

そして、就寝する1時間前までに入浴して寝るまでに体温を下げ、成長ホルモンの分泌を促しましょう。

湯ざめしてから寝ることは、風邪の予防にもなり、入浴と睡眠の関係でもっとも重要です。

また、適度な運動はストレス解消に効果的なので、ランニングやヨガなど、無理のない範囲で取り組むのがおすすめです。

不妊に悩むことがないよう、閉経年齢を高めよう

すでに体に異変が起きている人も、もしかすると……という人も、まずは血液検査でLH/FSH検査とAMH検査を受けて、自分の卵巣がどのような状態なのかを知ることが大切です。

そのうえで、緊急性があれば医師のもとで治療に取り組んでみましょう。

また、卵巣に問題がない場合でも、なるべく閉経を遅らせるために食事や生活習慣に気をつけるのは健康のために良いことです。

不妊治療は、心身に大きなストレスを与えるだけでなく、経済的な負担も大きくなってしまいがちです。苦労をしなくて済むように今から対策を始めましょう!

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この記事の監修者

ウイメンズクリニック南麻布 院長 清水敬生

清水敬生

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