2017年07月26日 更新
レーザーによる色素沈着を薄くしたい!の3つの治療方法とは
「色素沈着」とは、炎症が原因でその部位に色素が沈着してしまうことで起こります。残ってしまった色素沈着はレーザー治療で薄くすることが可能。治療方法は大きく分けて「メドライト C6」「Qスイッチルビーレーザー」「ダイレーザー」の3種類があります。自分の色素沈着のタイプに合わせて治療を行いましょう。
この記事は、品川美容外科横浜院 武内大先生が監修しています。
肌に色素沈着ができてしまった場合、レーザー治療を検討する人は多いでしょう。しかし、レーザー治療にはさまざまな種類があります。
どのレーザー治療を選択するかは、医師に診察してもらい相談しながら決定します。
しかし、事前にどのような種類があるかを知っておくことで、医師の説明もよく理解でき、より納得のいく治療ができるかもしれません。
そこでこの記事では、色素沈着へのレーザーによる治療法のなかから、代表的な3つの治療法について、それぞれの特徴をまとめました。
色素沈着の治療でレーザーを検討している人は参考にしてください。
そもそも「色素沈着とシミの違い」とは?

色素沈着と似た症状に「シミ」があります。見かけは同じようなものでも、「色素沈着」と「シミ」は、厳密には違うもの。
そのため、治療法も異なる場合があります。
「色素沈着」と「シミ」との違いは、以下のように区別できます
- 色素沈着:人工的な刺激によってできたもの。
- シミ:自然にできるもの。
例を挙げると、紫外線を浴びた結果、皮膚にできる色素沈着は「シミ」であり、肌が下着などで擦れる部位にできる色素沈着は「色素沈着」です。
色素沈着の原因は炎症
色素沈着は、正式名は「炎症性色素沈着」。その名のとおり、炎症が起こったことが原因で、その部位に色素が沈着してしまったものです。
日本人を含む黄色人種は、白人に比べ、メラノサイトが活性化しやすいとされています。そのため、日本人は比較的炎症性色素沈着が起こりやすい傾向にあるのです。
色素沈着の色は多くの場合、茶色や赤茶色をしているのですが、炎症性色素沈着は、以下のようなことが原因で皮膚に炎症が起こったときにできるといわれています。
- ニキビ
- 外傷
- 虫さされ
- やけど
- かぶれ
- あせも
- 化粧品によるかぶれ
- アレルギー性やアトピー性の皮膚炎
- ナイロンタオルなどの長期使用
「炎症性色素沈着」を治療するタイミング

炎症性色素沈着ができたからといって、治療しないと薄くならないというわけではありません。
炎症性色素沈着は多くの場合、特に治療を行わなくても、ターンオーバー(肌細胞の新陳代謝)によって時間の経過とともにその色が徐々に薄くなっていきます。
色が薄くなるまでの時間は、炎症性色素沈着のある部位や症状にもよりますが、顔の場合では約半年ほど。
こういった、炎症性色素沈着の色が自然に薄くなることを待つような方法を保存的療法といいます。
長期間消えない場合は治療を検討
炎症性色素沈着の症状がひどかったり、ターンオーバー(肌細胞の新陳代謝)の周期が乱れていたりする場合は、数年が経過しても自然には消えないことがあります。
この場合、炎症性色素沈着を薄くするためには治療が必要です。
また、炎症がおさまって間もない時期にレーザー治療を行うことで、色素沈着の症状がかえって悪化してしまうことがあります。
そのため、炎症性色素沈着ができて薄くしたい場合、治療をするかどうかの判断基準は、炎症がおさまって半年以上経過しているが、まだ色素沈着が残っている状態と基本的にされています。
色素沈着による3つのレーザー治療の種類

色素沈着の治療法には、さまざまな種類があります。レーザー治療ではおもに以下のような、治療を行います。
- メドライト C6
- Qスイッチルビーレーザー
- Qスイッチルビーレーザー
それぞれどのような、しくみなのか次項よりくわしく紹介します。
レーザーによる色素沈着の治療1:メドライト C6

メドライト(MedLite) C6は、シミ治療によく使われる「QスイッチYAGレーザー」と同じ種類のレーザー治療器です。
メドライトC6も、QスイッチYAGレーザーと同じように532ナノメートルと1,064ナノメートルの2つの波長の光を出すことができます。
照射部位に均一でムラがないエネルギーを届ける
メドライトC6が照射するレーザー光は「トップハットビーム」と呼ばれ、ビーム全域のエネルギー密度が均一になっています。
このため、照射部位に均一でムラのないエネルギーを届けることが可能になり、炎症などの副作用のリスクも少なくなったといわれています。
また、広範囲に弱い出力のレーザー照射をするためメラノサイトを活性化させることなく、メラニンを徐々に減らしていく効果が期待されています。
ほかにも、メドライトC6は「Qスイッチ」というシャッター機能を搭載しています。
「Qスイッチ」とは、超高速の電子的シャッターを用いて、ナノ秒単位というきわめて短い間隔で、連続的に高出力のレーザー光を発振させる技術です。
これにより、メラニン色素は急速に加熱され、破壊されるそうです。
メリット・デメリット
- メリット:痛みも少なくダウンタイムも短い
メドライトC6の治療は痛みが少ないので、麻酔が不要。ダウンタイムも短いため手軽に受けられる治療であることがメリットです。
体への負担が少ないという治療であるにもかかわらず、色素沈着の症状の改善は早いとされ、数回の治療で症状が改善が期待できることもメリットとして挙げられます。
- デメリット:複数回の治療が必要
メドライトC6では、1回の治療で症状の劇的な改善は得られないことがデメリットとして挙げられます。一定の効果を得るには、複数回の治療が必要になります。
適している色素沈着の症状:虫刺されやニキビ
メドライトC6による治療は、光治療で改善しなかった色素沈着や、虫刺されやニキビによる炎症の結果、起こった色素沈着の改善に有効とされます。
施術の痛み:輪ゴムで弾かれる程度
メドライトC6による色素沈着治療は、従来のレーザー治療に比べて痛みが少ないとはいえ、治療時は輪ゴムでパチパチと肌を弾かれるような感覚があります。
治療直後は、ヒリヒリしたり、赤みが出たりすることがありますが、数時間で消失することがほとんどだそうです。
所要時間と費用の目安
メドライトC6の治療に要する時間は、顔全体への照射の場合、15分程度。一定の効果を得るためには、1〜2週間に1回の治療を5回ほど繰り返すことが推奨されます。
メドライトC6の治療に要する費用は、顔全体への照射の場合、1回につき10,000円~30,000円となっているクリニックが多いようです。
レーザーによる色素沈着の治療2:Qスイッチルビーレーザー

Qスイッチルビーレーザーは、波長が694ナノメートルのレーザーを照射する治療器です。
Qスイッチルビーレーザーが照射する光の波長は、ヘモグロビンやコラーゲンに吸収されにくく、メラニンに吸収されやすい性質を持ちます。
メラニン色素のみを限局的に破壊できる
Qスイッチルビーレーザーの光はメラニンに吸収されやすい性質のため、色素沈着が起こっている部位の周囲組織や血管への損傷を最小限におさえながら、メラニン色素のみを限局的に破壊することが可能だそうです。
Qスイッチルビーレーザーは、「20ナノセカンド(1億分の2秒)」というきわめて短い間、高出力のレーザー光線を照射することで、メラニン色素を急激に加熱し、瞬間的に破壊。
破壊されたメラニン色素の破片は、2~4週間かけて「メラノファージ」と呼ばれるメラニンの顆粒を食べる細胞に吸収されます。
メリット・デメリット
- メリット:1回の治療で効果が期待できる
Qスイッチルビーレーザーは、非常に強力な出力のレーザー光を照射するため、1回の治療で高い効果が期待できます。
また、色素沈着が起こっている部位の周辺組織にはほとんど損傷を与えないため、治療後に出血したり、傷跡が残ったりする心配がありません。
- デメリット:刺激や紫外線から一定期間保護する必要あり
Qスイッチルビーレーザーを照射後、10日間ほどは照射部位に保護テープを貼って、刺激や紫外線から照射部位を保護する必要があります。
一方で、かさぶたが取れたあとの再生した皮膚は、周囲の皮膚の色より薄い色をしていますが、その後この部分には色素沈着が起こるので、半年ほどかけて周囲の肌と同じ色へ。
つまり、完全に自然な肌になるまで数か月の時間を要し、その間は肌に色むらができてしまいます。
適している色素沈着の症状:青あざ・外傷・外傷性刺青
Qスイッチルビーレーザーが照射する光は「青・黒・茶色」によく吸収される性質を持ちます。
このため、青や茶色のあざ、外傷による炎症性色素沈着症、外傷性刺青などの治療に適しています。
痛み:輪ゴムで弾かれる程度
Qスイッチルビーレーザーを照射する際は、輪ゴムを肌に弾いているような軽い痛みを感じることが多いようです。
通常は麻酔なしで治療が行われますが、クリーム麻酔などの使用が可能な場合もあるので、痛みが気になる人は相談してみると良いでしょう。
所要時間と費用の目安
Qスイッチルビーレーザーの1回の照射は瞬間的なものなので、1回の治療に要する時間は、治療部位が小さい場合は数分間、大きい場合でも15分程度。
一方で、治療回数は症状により差があります。
皮膚の浅い部分にできている色素沈着は、1回の治療で済むこともあります。しかし、皮膚の深い部分にできている色素沈着やあざなどは、3〜5回程度に治療する必要があり、間隔は最低3か月以上あけます。
Qスイッチルビーレーザーによる色素沈着の治療の料金は、色素沈着の大きさにより設定されています。
顔の場合、5ミリ以下の色素沈着では、5,000円〜10,000円ほどの料金が設定されていることが多いようです。
レーザーによる色素沈着の治療3:Vビームレーザー

Vビームレーザーは波長が長い595ナノメートルのオレンジ色のレーザー光で、赤い色によく吸収されるという特徴を持っています。
Vビームレーザー光を肌に当てると、赤くない肌の部分は通り抜けて、血管を流れる赤い血の色に反応し熱を持ちます。
その熱を利用して肌の赤みの原因である血管を塞いでいくのです。そのため、肌の赤み改善が期待できます。
また、Vビームレーザーの光は肌の真皮層の繊維芽細胞を強力に刺激してコラーゲンの生成を促進するため、肌のハリがアップされる効果もあるといわれています。
メリット・デメリット
- メリット:治療回数が少ない
ニキビ跡が赤く色素沈着したケースなど、2〜5回の治療で効果が期待できます。
- デメリット:副作用が出てしまうことがある
Vビームレーザーの副作用としては、術後の肌が内出血や、一時的な腫れ、炎症後の色素沈着が起きてしまうことがあります。
腫れは1〜5日程度、内出血は1、2週程度で吸収されていきます。レーザーの熱による色素沈着が起きてしまった場合も数か月で消失していきます。
適している色素沈着の症状:赤アザ・赤ら顔・ニキビ・ニキビ跡
800ナノメートル付近の波長の照射光は、メラニン色素による色素沈着の改善に、500ナノメートル付近の照射光は、ヘモグロビンによる色素沈着の改善に適しているようです。
ちなみに赤いアザや、ニキビが原因でできた赤い色素沈着などがこのケースにあたります。
痛み:輪ゴムで弾かれる程度
肌を輪ゴムで弾かれる程度の痛みです。痛みが気になる人や、感じやすい人にはクリーム麻酔やテープ麻酔を使うこともあります。
所要時間と費用の目安
1回の治療に要する時間は、5分~15分程度です。
また、治療にかかる費用は、色素沈着の症状によりさまざまですが、1回10,000円~50,000円かかることもあり、クリニックにより料金設定に幅があるようです。
色素沈着を治療して自信のある素顔に!

レーザー治療にもさまざまな種類があり、色素沈着の大きさや症状によって適応できる治療法が異なります。
しかし、さまざまな種類の治療法があるということは、それだけさまざまな症状に適応できるということ。コンシーラーで色素沈着を隠す日々から、解放されることが可能かもしれません。
色素沈着が起こってしまっても諦めず、一度クリニックでカウンセリングを受けてみましょう。
どのレーザーが適しているか判断するのは難しいものです。
そのため、まずはレーザーの設備が整っている美容皮膚科を受診してみると良いでしょう。
この記事の監修医:武内大先生のクリニックはこちら
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武内大
レーザー後の色素沈着は顔の場合は3〜6か月程度、体の場合は6か月〜12か月程度かかります。