2018年01月19日 更新

【医師解説】脂肪吸引で死亡事故?手術のリスク・どのような症状に注意が必要?

脂肪吸引の事故の原因は出血が多い、施術時間が長い、施術範囲が広い、合併症、麻酔の扱い、などが関係しています。また、術後に痛みが増してくる、尿が出ない、息苦しさ、などがある場合は注意が必要です。事故を防ぐためには脂肪吸引の経験が豊富である、麻酔の体制が充実している、術後のサポートがしっかりしているクリニックを選びましょう。

キルシェクリニック 院長 めかた啓介

この記事は、キルシェクリニック 院長 めかた啓介先生が監修しています。

こんにちは。キルシェクリニックめかた啓介です。今回も脂肪吸引についてお話をしたいと思います。

脂肪吸引とは、1cmほどの小さな傷からストロー状の細長い管(カニューレ)で、体内から直接脂肪を吸い出す施術です。

この脂肪吸引は、実は40年くらい前から存在しているもので、施術としてはそれほど新しいものではありません。

ただ、1980年台までは施術方法が確立しておらず、命に関わる重大事故も比較的多くあったため、そこまで多くの患者さんが受ける施術ではありませんでした。

その後、さまざまな改良が行われたことによって、2000年以降は比較的安全な施術と呼べるようになり、インターネットの発展によって脂肪吸引の存在を知る人が多くなったことも加わって、施術を受ける患者さんが増えているようです。

脂肪吸引は、短期間で高い痩身効果が得られるため、検討をしている方も多いと思います。

しかし、残念ながらときどき大きな事故が起こっています。このようなことから脂肪吸引を受けたくてもなかなか手術を決断できない人も多いかと思います。

今回は、なぜ脂肪吸引で大きな事故が起きてしまうのか、そしてそれらを防ぐにはどう したら良いのかについて書きたいと思います。

目次

脂肪吸引の死亡事故について

長い歴史を持っている脂肪吸引ですが、残念ながら今でもときどき大きな事故が起きています。そして、その割合は美容外科で行われている他の施術と比較すると高いものになっています。

美容の施術は生命に関わる緊急性があるものではないので、こういった事故が起きる可能性は限りなくゼロに近づけなければいけません。

それでも日本国内だけで数年に1件くらいの割合で大きな事故がニュースになっています。

アメリカのFDA(食品医薬品局)によると、10万件の脂肪吸引で20人から100人が死亡するというデータが存在するとしており、それは交通事故で死亡する確率と同じくらいだと報告しています。(死亡率0.02%-0.1%)

ただし、これは海外のデータであり、海外の脂肪吸引と日本の脂肪吸引では元々の体型や吸引する脂肪の量などが大きく違うことなどを考えると、日本国内での死亡率はもう少し低いのではないかと予想しています。

では、具体的にどのようなことが大きな事故に繋がるのでしょうか?

脂肪吸引が大きな事故に繋がる原因

美容外科施術の中で、脂肪吸引での大きな事故が比較的多いということは分かりました が、それはなぜなのでしょうか。そこにはいくつかの理由があります。

1:出血が多い

脂肪吸引の施術は、脂肪を直接吸い出す施術になりますので、脂肪に栄養を届けている 血管などが少なからずダメージを受けて出血します。

出血量が多くなって貧血の状態が進むと、全身の水分バランスが崩れるだけではなく、全身への酸素の供給などが足りなくなって脳や心臓にも影響を及ぼす可能性があります。

2:施術時間が長い

脂肪吸引の施術は、美容外科で行われている他の施術比較して施術時間が長いです。

プチ整形の埋没式二重術は10分程度で終わりますが、脂肪吸引では1〜3時間の施術がほとんどです。広範囲の施術の場合には5時間くらいかかる場合もあります。

こういった長時間の施術では、体へのストレスが大きくなり、体内の水分バランスなどの全身状態も大きく動く可能性があるので施術中・施術後の管理が難しいです。

また、長時間出血が続くことにもなるため、貧血を起こしやすい状況だといえます。

3:施術範囲が広い

脂肪吸引の施術は、太ももなどをはじめとして施術範囲が広範囲になる場合が多いです。

体の広範囲にダメージが及ぶと、その分だけ出血量が増えますし、腫れやむくみなどで術後に水分バランスが崩れやすくなります。

4:施術としての特性

脂肪吸引の施術は小さな穴から入れたカニューレで脂肪を吸い出す施術なので、医師は吸引している脂肪を直接見ることができません。

そのため、血管を傷つけてしまったり、内臓を傷つけてしまうなど、直接施術している部位が見えていれば避けられるトラブルも起きてしまう可能性があるのです。

直接出血が見えていれば止血も可能ですが、脂肪吸引ではそれもできず、術後に圧迫することでしか止血することができないというのも不利な点です。

そして、術後の圧迫は血液の流れを一時的に悪くしますので、静脈血栓(ロングフライト症候群と呼ばれるものと同じ)が起きやすい状況になりますので、そういった術後管理も大切になります。

また、脂肪塞栓(脂肪が血管の中に入って血管が詰まってしまうこと)という脂肪吸引特有の大きな合併症などもあります。

特にお腹の脂肪吸引では、肝臓や腸管など大切な臓器にとても近い部位での施術になりますので、そういった部分でも慎重に施術を行わないとトラブルが起きやすいといえるでしょう。

5:麻酔への軽視

脂肪吸引は静脈麻酔で行う場合が多いですが、その麻酔も技術差が大きい部分です。

不完全な麻酔で施術を行なった場合には、痛み刺激によって施術中に無意識に体が動いてしまうことで出血量が増えたり、施術時間が延びたりして、結果として術後に大きな身体ダ メージを抱えることになります。

逆に深すぎる麻酔では術後の気分不良が強く出たり、麻酔からの覚めが悪かったりして、これもまた大きな身体ダメージを抱えることになります。

美容外科で起きている事故の多くは麻酔が原因です。

そして麻酔の技術は簡単にマスターできるものではなく、未熟な技術での麻酔は命の危険に直結する可能性があります。

麻酔はオプションやサービスではなく、脂肪吸引を安全に行い、施術の結果を高め、術後経過を楽にしてくれる大切な要素であることを知っておきましょう。

6:施術の技術難易度

脂肪吸引は上記の通り、出血が多く・施術時間が長く・範囲が広い施術です。

できるだけ短時間で最小限の出血で施術を行うことによって大きな事故が起きる可能性を低くすることができますが、それには高い技術力が必要です。

太ももやお腹など、範囲が広い部位においては、その差は大きくなるでしょう。特に吸引量が3000ccを超えるような大量脂肪吸引においては、その技術差が術後経過としてはっきりと現れます。

脂肪吸引は施術の技術、麻酔の技術、術後管理の技術など、様々な要素が高いレベルで美容外科医に求められる施術といえるでしょう。


このように、脂肪吸引で事故が起きやすい理由はさまざまですが、それらの多くの美容外科医が注意をして管理すれば避けられるものばかりです。

医療行為である以上は、予期せぬトラブルがあることもゼロではありませんが、それは他の施術でも同じですので、脂肪吸引だけが特別ということではないでしょう。

脂肪吸引後の注意すべき体調の変化

脂肪吸引は大きな施術ですので、術後のダウンタイム期間中にはさまざまな症状が出る ことが考えられます。

その中には様子を見れば自然と良くなるものもあれば、早めの診察や対処が必要なものもあります。それはどうやって見分ければ良いでしょうか。

ここでは、施術後数日間で発生した場合には早めに対処を行なったり、診察を受けた方が良いと思われる、いくつかの症状について書きたいと思います。

1:痛みやしびれが強くて眠れない

脂肪吸引の術後には痛みが必ず伴います。ときに歩くことも難しいような痛みが出る場合もあるかもしれません。

そういった場合には、まずは積極的にクリニックで処方された痛み止めを使ってください。よほどのことがない限り、眠れないほどの痛みが持続することはありません。

痛みのピークは施術の翌日から翌々日です。もし痛み止めを使用しても効果がなかったり、逆にどんどん痛みが強くなっていく場合や、痺れた感じが強くなってくる場合には、クリニックに相談した方が良いでしょう。

このような場合は、出血が止まらずに続いていたり、圧迫が強すぎて神経まで圧迫されている可能性などが考えられます。

2:尿が全く出ない

脂肪吸引の術後は、出血や腫れなどで脱水になりやすい状況です。施術中には点滴で水分を補っていますが、それだけでは不十分な場合が多いです。

そのため、術後は積極的に水分をとるようにしましょう。目安としては、1日に飲み物だけで1リットル以上は必要です。

とくに、尿が全く出なかったり、出ても色の濃い尿が少量しか出ていない場合は注意が必要です。強い脱水を起こしている可能性が考えられますので、すぐに水分の取る量を増やしてください。

もし気分不良などで食事が取れず、水分もとることができない場合には、クリニックで点滴を受けることも必要でしょう。

トイレに行くのが大変だから、水分を摂らないようにするといった患者さんを時々見かけますが(どうやらネットで書いている人がいるようです)、とても危険な行為ですので、絶対にやらないようにしてください。

脱水は体の回復を遅らせるだけでなく、腎臓にも強い負担をかけますし、静脈血栓のリスクも高めます。

少し多めに水分を取り、3回は以上はトイレに行き、いつもと変わらないか薄めの色の尿が出ているような状況を維持してあげることが必要です。

3:息苦しい・意識がボーッとする

息苦しさや意識がボーッとするようなことは通常では起きない症状です。

施術のストレスで肺水腫(肺に水が溜まること)になったり、貧血の症状が強く出ていたり、血栓が起きていたり、血糖値が大きく動いていたりなど、さまざまな原因が考えられますが、それらの多くは早めの対処が必要な状況です。すぐにクリニックに相談して診察を受けてください。


これらの症状は一例ですので、ほかにも急を要する状況はあるかもしれません。

術後のダウンタイムとしてあまりに大変だと感じ、このまま様子を見るかどうか悩んだときには、まず相談することが大切です。

結果として様子を見られる状況だったとしても大きな問題にはなりませんが、大きなトラブルを見逃していた場合には、命に関わる危険性もあるからです。

事故を防ぐために重要なこと

脂肪吸引での事故を防ぐために必要なことの多くは、クリニックや医師が気をつけるべきことです。

まずは、クリニック側が脂肪吸引を安全に行うという意識を持つことが大切だと考えています。

患者さんがクリニック選ぶときには、以下の3点が大切です。

  • 脂肪吸引の経験が豊富で実績がある医師が担当すること
  • 麻酔の体制が充実していること
  • 術後のサポートが安心して受けられること

最低でもこれらのことがクリアしているクリニックを選びましょう。

その上で、医師との相性やカウンセリングでの納得度、症例写真でのデザインの好みなどを加味してクリニック選びをすれば、脂肪吸引が安全に成功する確率は高まるでしょう。

術後に患者さんが注意すべきことは、水分をとることで脱水を避け、ずっとベット上で寝ているのではなく冷蔵庫やトイレに行くくらいの軽い室内運動は行い、心配な状況が起きたときには無理して我慢せず、クリニックに相談することです。

「脂肪吸引を検討されている方へ」 めかた先生からのメッセージ

めかた先生のお写真

脂肪吸引は日々の生活に笑顔を増やし、人生をプラスに変えてくれる素晴らしい施術であることは間違いありません。

ただ、その一方でリスクもある施術です。リスクについてもしっかりと理解をした上で、施術選び・クリニック選びをすることが大切です。

当院でボディの脂肪吸引を受ける患者さんの30%くらいは、他院で脂肪吸引の施術を受けた部位の再施術です。

そういった再施術を受けた患者さんに聞くと、「術後の痛みや動きの制限が少なくて楽」「前回とは麻酔が全然違って楽だったからビックリ」という評価をいただくことがあります。

本来であれば再施術の方が施術時間も長く出血も多いため、ダウンタイムは大きくなる傾向にあります。しかし、それがひっくり返るくらいの技術差が脂肪吸引の施術でも麻酔の施術でもあるということだと思います。

特に麻酔では、施術中に痛みで覚めてしまい、そのまま痛みで苦しむ中で施術を受けたために、施術後にPTSD(外傷後ストレス障害)になってしまった患者さんもいらっしゃるくらい、大きな技術差があるようです。

大変残念ではありますが、それが今の美容外科での麻酔の現状だということなのでしょう。

麻酔はサービス品という意識のクリニックより、麻酔も大切な美容外科施術という意識を持ったクリニックの方が、圧倒的にトラブルは少ないと思います。


当院は「メールや電話で心配なことがすぐ聞けることが安心」という評価を多くいただきます。

カウンセリングに医師がしっかりと時間をかけてくれて、術後もしっかりと見てくれるクリニックが安心なのはいうまでもありません。

しかし、カウンセリングのほとんどが医師ではなくカウンセラーやクラークと呼ばれる医療資格を持っていない女性だったり、術後に相談しても様子を見るように電話で指示されるだけというクリニックが多いという裏返しなのかもしれません。

クリニック選びには様々な要素がありますので、今回の記事を参考にして、自分にとってベストなクリニックを探してみてください。

脂肪吸引は人生をかけた大きな施術ですが、命をかけて行うものではありません。

脂肪吸引が皆さんの日々の生活に笑顔を増やして、人生をプラスに変えてくれることを願っています。

:)この記事の解説医師

めかた先生のお写真

キルシェクリニック 院長  めかた 啓介

1999年産業医科大学医学部医学科卒業後、江戸川病院救急センター長、北茨城市立総合病院麻酔救急科部長・医局長を歴任し、湘南美容外科入職。
本院で脂肪吸引・麻酔の医長を務める。
その後、品川美容外科川崎院 院長、品川スキンクリニック川崎院 院長、城本クリニック横浜院 院長を務めた後、2016年4月キルシェクリニックを開院。
日本麻酔科学会専門医、日本麻酔科学会指導医。

めかた先生へのご相談は「キルシェクリニック」へ

  • 住所東京都港区赤坂2-17-58 赤坂福住ビル3F
  • アクセス赤坂駅5a・5b出口から徒歩1分
  • 休診日不定休
  • 診療時間10:00~19:00
  • 電話番号03-6459-1661
  • 予約電話予約

※ クリニック情報や診療メニューなどは、公式ホームページから取得した内容ですので、情報の正確性は保証されません。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

キルシェクリニックの詳細

「キルシェクリニック」脂肪吸引のメニュー

北は北海道、南は沖縄まで全国各地から患者さんにお越しいただいております。

海外ではアメリカ・カナダ・イギリス・台湾・インドネシア・中国などからお越しいただいた実績があり、大きな変化の中にも繊細なデザインと女性的な魅力をしっかりと出す施術が人気です。

脂肪吸引 部位 価格(税別)
ホホ+アゴ 298,000円(モニター価格)
二の腕+肩 298,000円(モニター価格)
二の腕+肩+背中 398,000円(モニター価格)
太もも+お尻+ひざ 498,000円(モニター価格)
ふくらはぎ+足首 298,000円(モニター価格)

※価格は2017年10月6日時点のものです。予期なく変更する場合がございます。
※モニターには所定の審査があり、受けることができない場合があります。
※通常価格やパーツごとのほかの価格はこちらからご確認いただけます。

脂肪吸引の施術を受けられるクリニック

  • 大阪御堂筋線 心斎橋 駅より徒歩4分
  • VASER脂肪吸引お腹すっきり(腹+ウエスト+腰)780,000円

湘南美容外科クリニックの詳細

  • 福岡西鉄福岡天神駅より徒歩5分
  • お腹3部位脂肪吸引(上腹+下腹+側腹)710,000円

聖心美容外科 福岡院の詳細

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